運動前の性的活動が運動パフォーマンスに及ぼす影響については、いまだに議論がされている。このテーマについて、スペインのバリャドリッド大学医学部神経生物学研究グループのDiego Fernandez-Lazaro氏の研究グループは、男性アスリートを対象に運動前のマスターベーションが、その後の運動に影響するかどうかを検討した。その結果、運動前のマスターベーションは、運動パフォーマンスにネガティブな影響を及ぼさないことがわかった。この結果は、Physiology&Behavior誌2026年4月号に掲載された。
競技前の性的活動はその後の運動に影響せず
研究グループは、21人の十分にトレーニングを受けた男性アスリート(年齢22±1歳)を対象に、運動試験30分前に実施したマスターベーションによるオルガスムと性行為禁止の急性効果を比較する無作為化クロスオーバー研究を実施した。各参加者は両条件下で漸増性サイクリングテストおよび等尺性握力テスト行った。血液サンプルを分析し、筋損傷(CK、LDH、Mb)、炎症(CRP、IL-6)、ホルモン(テストステロン、コルチゾール、LH)マーカーを測定した。
主な結果は以下のとおり。
・禁欲状態と比較し、マスターベーション後の状態では運動持続時間が3.2%延長(p<0.01)、心拍数上昇(p<0.001)が認められた。
・平均握力もわずかに増加(p<0.05)した。
・血漿LDH値の低下(p<0.001)は筋ストレスの軽減を示唆した。
・テストステロンとコルチゾール濃度は有意に上昇(いずれもp<0.001)したが、炎症マーカー(CRP、IL-6)に有意な変化は認められなかった。
以上の結果から、「運動30分前のマスターベーションは、パフォーマンスや筋肉損傷に悪影響を及ぼさず、軽度の交感神経・ホルモン活性化を誘発した。これらの知見は、競技前の性的活動がトレーニングを受けた男性の運動パフォーマンスを損なわないことを示唆し、競技前の性的活動の禁止が必須であるという長年の通説に異議を唱えるものとなる」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)