現代では多くのオフィスワーカーが生活時間の8~9割を屋内で過ごしているとされ、慢性的な日光不足が2型糖尿病などの代謝疾患のリスク因子として注目されている。日中の自然光曝露が2型糖尿病患者において血糖変動を安定化させ、脂肪利用を高めるとともに、骨格筋の概日リズム(体内時計)を調整する可能性が示された。この研究成果は、Cell Metabolism誌オンライン版2025年12月18日号に掲載された。
本試験は2型糖尿病患者13例を対象とした無作為化クロスオーバー試験であった。参加者は連続4.5日間、自然光群と人工照明群に割り振られ、1~4日目の8~17時、5日目の9~13時30分のあいだ、広い窓から自然光が差し込むオフィスルームまたは人工照明のみで照らされたオフィスルームのいずれかに滞在した。参加者は持続血糖測定(CGM)、間接熱量測定、メラトニン値、血中マルチオミクス解析などを受けた。
主な結果は以下のとおり。
・2型糖尿病患者13例(平均年齢70歳、BMI 30.1kg/m2)が対象となった。参加者は2回の介入を受け、屋内で人工照明と自然光を浴びた。
・CGMデータを、食後血糖上昇(食後スパイク)と、これとは独立した基礎血糖の日内リズム(24時間周期)で解析した。自然光と人工照明を比較すると平均血糖値に差はなかったものの、自然光では正常血糖範囲(4.4~7.2mmol/L)の時間が有意に増加した。基礎血糖の日内リズムの振幅も、自然光は人工照明よりも有意に小さかった。
・自然光と人工照明ではエネルギー消費量は変わらないものの、自然光では日中を通して脂肪酸化が亢進し、糖利用が相対的に抑制された。
・メラトニン分泌開始時刻そのものは変化しなかった一方で、自然光では就寝前(21~23時)のメラトニン分泌量が有意に増加した。
著者らは「本試験は少人数、4.5日間という短期間ながら、自然光曝露という非侵襲的・低コスト介入で、2型糖尿病患者の血糖安定化と脂質利用亢進が得られた点は重要である。日光曝露が概日リズムの位相を変えることなく夜間のメラトニン分泌を増加させ、末梢時計機能や代謝リズムの改善を介して血糖安定化に寄与した可能性が示された。薬物・運動療法に加え、職場や生活環境の光設計(窓際配置、日中の自然光確保)が代謝管理の補助戦略となる可能性がある。これらの結果は、自然光曝露が単なる概日リズムの調整にとどまらず、実際の代謝機能改善をもたらすことを示している」とした。
(ケアネット 杉崎 真名)