日本の糖尿病診療の実態、地域・専門医/非専門医で差はあるか?/日本医師会レジストリ

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/26

 

 日本医師会が主導する大規模患者レジストリJ-DOME(Japan Medical Association Database of Clinical Medicine)のデータを用い、日本の糖尿病診療の現状を分析した研究結果が発表された。国際医療福祉大学の野田 光彦氏らによる本研究はJMA Journal誌2025年10月15日号に掲載された。

 研究者らは、2022年度にJ-DOMEへ患者を登録した全国116の医療機関を対象に、2型糖尿病患者2,938例のデータを解析した。施設を地域別に7グループ(北海道・東北、北関東、南関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)に分け、地域間の比較を行った。また、糖尿病専門医の在籍施設と非在籍施設の違いについても検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・全国116の医療機関で2型糖尿病と診断された2,938例が解析対象となった。年齢中央値71(範囲:8~99)歳、男性1,567例(53%)、1機関当たりの平均患者数は25.3(範囲:1~150)例であった。
・患者の全国平均のHbA1c値は6.96%、血圧は129.7/73.0mmHgで、脂質値(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)を含めたいずれの値も、地域間で有意差は認められなかった。
・専門医在籍施設(45施設)と、非在籍施設(71施設)を比較したところ、HbA1cの平均値は、専門医施設(7.13%)が非専門医施設(6.86%)より有意に高値だった。これは、専門医施設で糖尿病網膜症(専門医施設22.8%vs.非専門医施設7.7%)や糖尿病性腎症(21.8%vs.16.1%)などの合併症を有する患者が多いためと推察された。なお、血圧や脂質管理の指標は、専門医と非専門医施設間で有意差は認められなかった。
・一方、合併症の早期発見に直結する定期検査の受診率では、専門医施設と非専門医施設で差がみられた。眼科の定期検査受診率は、専門医施設で78.5%と高かったのに対し、非専門医施設では53.9%に留まった。尿中アルブミン定量検査受診率も専門医施設(62.5%)が非専門医施設(33.5%)に比べ、2倍近かった。

 研究者らは、「本研究結果は、分析したどの地域でも全国平均からの大きな逸脱はみられず、日本全国で糖尿病ケアの水準が比較的均一であることが示された。これは診療ガイドラインの普及や医療の標準化によるものと考えられる。一方、糖尿病合併症の進行を抑制するために不可欠な定期検査の受診率では、専門医と非専門医施設で依然として大きな差が存在することも示された。大多数の患者を診療している非専門医施設における定期的な眼科受診や尿中アルブミン定量検査の実施を標準化し、底上げを図ることが、糖尿病医療の質全体を向上させるために重要だ。専門医と非専門医間の連携強化の推進とともに、非専門医に対する合併症検査の重要性の啓発と、実施体制の整備が急務となる」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)