EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療の標準治療として、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のオシメルチニブが用いられているが、第1/2世代のEGFR-TKIが用いられる場合もある。ただし、本邦では第1/2世代EGFR-TKIを用いた1次治療で進行が認められた場合、EGFR T790M変異が確認されないとオシメルチニブは適応とならない。そこで、第1/2世代EGFR-TKIを用いて治療を開始し、進行時にEGFR T790M変異が陰性(もしくは検出不能/検査困難)となったNSCLC患者に対するオシメルチニブの有用性を検討する医師主導の国内第II相試験「WJOG12819L/KISEKI試験」が実施された。第66回日本肺癌学会学術集会において、本試験の中枢神経系(CNS)単独の進行がみられた患者集団(コホート1)の結果を高濱 隆幸氏(近畿大学病院 腫瘍内科)が報告した。なお、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ製剤による治療後に進行を認めたEGFR T790M変異陰性集団(コホート2)の結果はすでに報告されている。コホート2における奏効割合(ORR)は29.1%、無増悪生存期間(PFS)中央値は4.07ヵ月であり、主要評価項目が達成された1)。
・対象:以下の適格基準を満たすEGFR-TKI既治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者17例
<主な適格基準>
(1)20歳以上
(2)初回EGFR-TKI投与前にEGFR-TKI感受性変異を検出
(3)ECOG PS0~2
(4)第1/2世代EGFR-TKI治療開始後にCNS進行のみを確認
(5)CNS進行後に採取した組織もしくは血漿サンプルでEGFR T790M変異陰性(もしくは検出不能/検査困難)
・介入:オシメルチニブ80mg/日
・評価項目:
[主要評価項目]CNS ORR
[副次評価項目]安全性
[探索的評価項目]CNS PFSなど
・解析計画:CNS ORRの95%信頼区間(CI)の下限が20%を上回った場合に、主要評価項目達成とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者の年齢中央値は69歳(範囲:47~84)、PS0/1の割合は47.1%/52.9%であった。1次治療開始前のEGFR遺伝子変異の内訳(exon19欠失変異/L858R変異)は、47.1%/52.9%であった。
・CNS ORRは47.1%(95%CI:23.0~72.2)であり、95%CIの下限値が20%を上回ったことから、主要評価項目が達成された。
・CNS PFS中央値は14.6ヵ月であった。
本結果について、高濱氏は「組織検体が得られていない患者では、EGFR T790M変異が陰性であることを証明することが難しいというリミテーションが存在する」としつつ、「EGFR T790M変異陰性もしくは不明の患者において、オシメルチニブはCNSへの一定の奏効を示した」と結論をまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)