抗うつ薬治療で効果不十分なうつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法の有用性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/07

 

 うつ病患者の多くは、抗うつ薬治療による症状が50%未満しか軽減せず、症状改善には非定型抗精神病薬の補助療法が有益となる可能性がある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのShivani Kapadia氏らは、抗うつ薬治療に対する最小限(0%超~25%未満)および部分的な(25%~50%未満)治療反応を示したうつ病患者におけるブレクスピプラゾールの補助療法の有効性と安全性を検討するため、3つのランダム化比較試験のデータを統合し、事後解析を実施した。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌2025年10月1日号の報告。

 3つの6週間の国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを統合した。対象は、抗うつ薬治療で効果不十分な成人うつ病外来患者。患者を8週間の抗うつ薬治療期間における治療反応に基づき、最小反応群または部分反応群に層別化した。ブレクスピプラゾール2~3mg/日またはプラセボのいずれかにランダム化し、6週間の補助療法を行った。補助療法期間における有効性の評価には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)および臨床全般印象度-重症度(CGI-S)を用いた。安全性は、治療中に発現した有害事象(TEAE)により評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・最小反応群663例では、ランダム化治療期間中のMADRS総スコア変化量の最小二乗平均値は、抗うつ薬+ブレクスピプラゾールで-8.8±0.3ポイント、抗うつ薬+プラセボで-6.3±0.3ポイントであった。6週目における最小二乗平均値差は-2.47(95%信頼区間[CI]:-3.38~-1.55)であった(p<0.001、Cohen's d:0.41)。
・部分反応群235例では、MADRS総スコア変化量の最小二乗平均値は、それぞれ-6.4±0.5ポイント、-4.9±0.5ポイントであり、6週目における最小二乗平均値差は-1.53(95%CI:-2.94~-0.11)であった(p=0.035、Cohen's d:0.28)。
・CGI-Sの結果は、MADRSの結果と同様であった。
・最小反応群におけるTEAEの発現率は、抗うつ薬+ブレクスピプラゾールで328例中196例(59.8%)、抗うつ薬+プラセボで335例中160例(47.8%)であった。
・部分反応群におけるTEAEの発現率は、それぞれ115例中63例(54.8%)、120例中49例(40.8%)であった。

 著者らは「抗うつ薬治療に対する最小限または部分的な治療反応の有無にかかわらず、ブレクスピプラゾール補助療法はうつ病に有効である可能性が示された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)