中年期に食事を抜くと将来フレイルになる可能性/長寿研

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/07

 

 高齢者にとってフレイルによる運動機能の低下は、日常生活に重大な悪影響を及ぼす。こうしたフレイルに明確な原因はあるのであろうか。この課題に対し、国立長寿医療センターの西島 千陽氏らの研究グループは、認知症のない65歳以上の高齢者5,063例を対象に若年期(25~44歳)および中年期(45~64歳)の食事抜きの習慣と老年期のフレイルとの関連性を検討した。その結果、若年期、中年期の食事抜きは、高齢期のフレイルに関連することがわかった。この結果は、Journal of the American Medical Directors Association誌2025年10月9日号に掲載された。

中年期の食事抜き習慣はフレイルに関係する

 研究グループは、知多市(愛知県)で実施したコホート研究から認知症のない65歳以上の高齢者5,063例を対象に抽出。若年期・中年期の1日当たりの食事回数を評価し、1日2食以上の食事を抜くことを「食事を抜く習慣」と定義し、二項ロジスティック回帰分析により、潜在的な交絡因子を調整したうえで、老年期のフレイルに対するオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。さらに、若年期から中年期を通じて食事を抜く習慣を4群に分類した分析を実施し、その後、現在の食事状況に基づくサブグループ別に、関連性をさらに検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・完全調整モデルにおいて、若年期(OR:1.64、95%CI:1.20~2.25)および中年期(OR:2.15、95%CI:1.34~3.49)に食事を抜く習慣は、老年期のフレイルと関連していた。
・若年期に食事を抜いていたが、中年期にその習慣を止めた対象者は、老年期のフレイルと関連しなかった。
・中年期に食事を抜く習慣を始めた者(OR:2.18、95%CI:1.07~4.71)、および若年期から中年期を通じて食事を抜く習慣を継続した者(OR:2.35、95%CI:1.53~3.70)は、食事を抜かない者と比較して、老年期のフレイル有病率が高かった。
・中年期の食事を抜く習慣と老年期のフレイルとの関連は、食事を抜く習慣を止め、老年期に3食パターンにした者においても観察された(OR:2.96、95%CI:1.50~6.18)。

 研究グループは、これらの結果から「老年期のフレイルを予防するには、とくに中年期において、規則的な食習慣を身に付けることが重要」と示唆している。

(ケアネット 稲川 進)