糖尿病前症の生活改善、AI介入が人間に非劣性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/07

 

 糖尿病前症の過体重または肥満の成人に対する糖尿病予防プログラム(DPP)について、人工知能(AI)主導による介入は人間主導による介入に対して、体重減少、身体活動およびHbA1cに基づく複合アウトカムの達成に関して非劣性であることが示された。米国・Johns Hopkins University School of MedicineのNestoras Mathioudakis氏らAI-DPP Study Groupが、Johns Hopkins Hospital(メリーランド州ボルティモア)およびReading Hospital Tower Health(ペンシルベニア州レディング)の2施設で実施したプラグマティックな第III相無作為化非盲検非劣性試験の結果を報告した。糖尿病前症を有する人は多数に上るが、現状エビデンスに基づくライフスタイル介入は十分に活用されていない。JAMA誌オンライン版2025年10月27日号掲載の報告。

12ヵ月時点での体重減少、身体活動、HbA1cの複合アウトカムを比較

 研究グループは、2021年10月11日~2024年12月16日(最終追跡調査日)に、糖尿病前症と診断された過体重または肥満を有する18歳以上の成人を、AI主導DPP群と人間主導DPP群に1対1の割合で無作為に割り付け、両介入を研究チームから独立して12ヵ月間提供した。他の構造化プログラムへの参加や、血糖ならびに体重に影響を与える薬剤の使用は禁止とした。

 AI主導DPP群では、モバイルアプリとBluetooth対応体重計を介し、収集されたデータに基づき体重管理、身体活動、栄養に関する指導が個別に配信された。人間主導DPP群では、4種類の生活改善プログラムのうち1つを紹介し、当初は週1回を16回、その後は隔週~月1回、集団ビデオ会議形式の遠隔指導で行った。

 主要アウトカムは、試験期間を通してHbA1cが6.5%未満に維持され、かつ12ヵ月時点において(1)5%以上の体重減少、(2)4%以上の体重減少に加え週150分以上の中~高強度の身体活動、(3)HbA1cの絶対値が0.2%以上低下、のいずれかの達成で定義される複合アウトカムであった。非劣性マージンは、リスク群間差の片側95%信頼区間(CI)下限が-15%と事前に規定された。

AI主導DPPは人間主導DPPに対して非劣性

 427例がスクリーニングされ、このうち適格基準を満たした368例が無作為化された(AI主導DPP群183例、人間主導DPP群185例)。年齢中央値は58歳(四分位範囲[IQR]:50~65)、女性が71%、黒人27%、ヒスパニック6%、白人61%、BMI中央値32.3(IQR:28.5~37.1)であった。AI主導DPP群では183例中171例(93.4%)が、人間主導DPP群では185例中153例(82.7%)が介入を開始した。

 主要アウトカムの達成割合は、AI主導DPP群31.7%(58/183例)、人間主導DPP群31.9%(59/185例)、リスク群間差は-0.2%(片側95%CI:-8.2%)であり、非劣性基準を満たした。複合アウトカムの各構成要素の達成割合および感度解析においても、結果は一貫していた。

 なお著者は、非盲検試験であること、糖尿病の発症ではなく代替アウトカムが使用されたこと、人間主導DPPの提供は施設によって異なっていた可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)