真性多血症へのrusfertideの第III相試験、32週までの結果(VERIFY)/ASCO2025

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/04

 

 標準治療を受けている真性多血症(PV)患者で頻回の瀉血を必要とする患者に対するrusfertideの上乗せのベネフィットを評価する現在進行中の国際共同第III相VERIFY試験のパート1aにおいて、臨床的奏効割合、瀉血回数、ヘマトクリット値および症状の改善が示された。米国・Moffitt Cancer CenterのAndrew Tucker Kuykendall氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションで発表した。

 PVは赤血球の過剰産生を特徴とし、心血管・血栓イベントリスクを増加させる。rusfertideは鉄恒常性における主な調節因子であるヘプシジンのペプチド模倣薬である。この国際共同無作為化プラセボ対照第III相試験は、パート1a(用量漸増、二重盲検)、パート1b(非盲検)、パート2(非盲検、長期安全性評価)から成り、パート1a(0~32週)を完了した患者がパート1b(32~52週)に移行し、パート1bを完了した患者がパート2に進む。今回はパート1aの結果が報告された。

・対象:標準治療(瀉血±細胞減少療法)を受けているPV患者で、過去28週に3回以上もしくは過去1年に5回以上瀉血を受けた患者
・試験群:標準治療+rusfertide(週1回皮下投与、開始用量20mg、用量範囲10~90mg)
・対照群:標準治療+プラセボ
・評価項目:
[主要評価項目]臨床的奏効(20~32週に瀉血の対象でないこと)割合
[重要な副次評価項目]0~32週の平均瀉血回数、ヘマトクリット値45%未満の患者割合、PROMIS Fatigue SF-8a ScoreおよびMFSAF Total Symptom Score(TSS)7のベースラインからの変化の平均

 主な結果は以下のとおり。

・約400例がスクリーニングされ、最終的に293例(男性73.0%、年齢中央値57歳)が、rusfertide群(147例)とプラセボ群(146例)に無作為に割り付けられた。rusfertide群は56.5%、プラセボ群は55.5%が同時細胞減少療法を受けていた。
・主要評価項目である臨床的奏効割合は、rusfertide群(76.9%)がプラセボ群(32.9%)の2倍を超え、有意に多かった(p<0.0001)。年齢、リスク因子、同時細胞減少療法などを考慮したサブグループ間でも奏効割合に差はみられなかった。
・0~32週の平均瀉血回数は、rusfertide群(0.5回)がプラセボ群(1.8回)より少なく(p<0.0001)、1回も瀉血を受けなかった患者割合はrusfertide群が72.8%、プラセボ群で21.9%であった。
・0~32週にヘマトクリット45%未満を維持した患者はrusfertide群が62.6%、プラセボ群は14.4%であった(p<0.0001)。
・rusfertide群はプラセボ群と比べ、PROMIS Fatigue SF-8a ScoreおよびMFSAF TSSの有意な改善を示した(どちらのスコアもp<0.03)。
・パート1aにおいてrusfertide群で最もよくみられた治療関連有害事象(AE)は、注射部位反応(55.9%)と貧血(15.9%)であった。
・重篤なAEはrusfertide群で3.4%、プラセボ群で4.8%に発現したが、いずれもrusfertideに関連はないと考えられた。PV以外の新たながんがrusfertide群で1例、プラセボ群に7例報告された。

 Kuykendall氏は「本試験においてrusfertideはプラセボと比較して瀉血回数を有意に減少させ、ヘマトクリット値および症状を改善した。また、これまでの試験と同様、管理可能な安全性プロファイルを示した」とまとめ、「本剤がPVの新たな治療選択肢となる可能性を信じている」と期待を示した。

(ケアネット 金沢 浩子)

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