うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/25

 

 うつ病は、最も大きな障害をもたらす精神疾患の1つであり、その病態生理は、いまだ完全に解明されていない。中国・Nantong Stomatological HospitalのYuan-Yuan Cheng氏らは、メトホルミンの抗うつ薬治療としての可能性を検討するため、うつ病の発症と進行に対するメトホルミンのメカニズムなどに関する研究をレビューした。Biochemical Pharmacology誌2025年3月号の報告。

 主な内容は以下のとおり。

・うつ病の予防や治療に対するメトホルミンの可能性を検討した前臨床研究数は増加しており、血糖降下薬の第1選択薬であるメトホルミンがうつ病に多面的な影響を及ぼす可能性が強調されている。
・さらに、メトホルミンは抗うつ作用を示しており、うつ病げっ歯類モデルにおいて、抑うつ症状を改善することを示唆する新たなエビデンスが報告されている。
・しかし、うつ病におけるメトホルミンの正確な役割および根本的なメカニズムは依然として不明であり、さらなる調査が求められる。
・最近の研究では、メトホルミンは、海馬の神経損傷および構造的可塑性を改善し、さらに抗うつ薬の抗うつ効果を増強することが示唆されている。
・いくつかの研究を検討した結果、メトホルミンは、神経伝達物質の調整、神経新生の促進、抗炎症効果、腸内細菌叢の変化など、複数の経路をターゲットとすることで、抑うつ症状の軽減に役立つ可能性が示唆された。

 著者らは「本レビューにより、メトホルミンの作用機序をより深く理解し、うつ病の予防や治療における新たな洞察に役立つことが望まれる」としている。

(鷹野 敦夫)