日本の大学病院の外来における睡眠薬の処方傾向

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/08

 

 日本では、不眠症治療のための1日当たりの睡眠薬の投与量が年々増加しており、睡眠薬治療への過度な依存が大きな問題となっている。久留米大学の加藤 隆郎氏らは、自院において、1年間で3種類以上の睡眠薬を減量・中止するために必要な要因の検討を試みた。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年11月9日号の報告。

 次の2つの調査が実施された。調査1では、2013年1月~2019年3月に一般外来および精神科外来を受診したすべての患者の診療データをレトロスペクティブに調査し、3種類以上の睡眠薬の処方頻度を評価した。調査2では、2013年4月~2019年3月に精神科外来を複数回受診し、3種類以上の睡眠薬を処方されたすべての患者の診療データをレトロスペクティブに調査し、その後1年間の睡眠薬と向精神薬の処方変化を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・3種類以上の睡眠薬が処方された頻度は、精神科では、他科と比較し、6~9倍高かった。
・最も使用されていた睡眠薬は、フルニトラゼパムとブロチゾラムであり、薬剤中止率は、ゾルピデムに次いで2番目に低かった。
・中止率の最も高かった薬剤は、エスゾピクロン、ゾピクロン、スボレキサントであった。
・減量の成功要因は、年齢(オッズ比[OR]:0.97、p<0.0037)、トラゾドンの追加(OR:12.86、p<0.0194)、精神科経験年数であった。

 著者らは「本研究で特定された睡眠薬の減薬に関する患者の特徴、および成功要因は、睡眠薬多剤併用の問題解決に役立つ可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)