テデュグルチドにより短腸症候群の経静脈サポート量が減少

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/10

 

 テデュグルチド(TED)投与により、短腸症候群(SBS-IF)に関連するクローン病(CD)患者では、栄養素または水分の静脈内補給をする経静脈サポート(PS)の量が8週目に大幅に減少し、結腸のない患者では4週目に継続的にPS量が減少したことが兵庫医科大学病院の佐藤 寿行氏らによる研究でわかった。Clinical Nutrition誌オンライン版2023年3月17日号の報告。

 CD患者の慢性腸管不全を伴うSBS-IFに対するTEDの短期的効果は、依然として不明である。著者らは、SBS-IFに対するPSを受けているCD患者におけるTEDの効果を調査することを目的としてレトロスペクティブ研究を行った。

 2020~21年にTEDを開始したSBS-IFに伴うCD患者のカルテを使用した。主要アウトカムは、8週目のPS量の変化とPS量が20%以上減少した患者の割合とした。副次アウトカムは、連続して結腸がない/あるCD患者におけるPS量の変化と、観察期間中の有害事象とした。本研究では、SBS-IFの在宅PSを受けた18例のCD患者を対象とした。2例の患者は、8週間以内に耐えられない腹痛や嘔吐があったため除外された(11%)。16例の患者は、観察期間中、TEDを継続した。

 主な結果は以下のとおり。

・PS期間の中央値は10.5年であった。
・観察期間の中央値は、TEDを開始してから22週間であった。
・TEDはPS量を1万5,825.0mL/週から1万700.0mL/週へと有意に減少させた(p=0.0038)。
・8週目には7例(43.8%)でPS量が20%以上減少していた。
・PS量は4週目に、結腸が連続していない11例の患者で有意に減少したが(p=0.0078)、結腸が連続している5例の患者では減少しなかった。
・重篤な有害事象は発生しなかった。

(ケアネット 溝口 ありさ)