dMMR大腸がん術前療法としてニボルマブとイピリムマブの併用が有用な可能性(NICHE-2)/ESMO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/29

 

 DNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の大腸がんに対する術前療法としてのニボルマブ・イピリムマブ併用療法の有用性が、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMyriam Chalabi氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。

 2020年にNICHE-1試験において両剤併用の術前療法としての有用性は報告されている。今回は同様にオランダ国内で実施されたNICHE-2試験の結果も統合しての解析結果発表である。

・対象:他臓器転移のないdMMR大腸がん(T3以上またはN+)(112例)
・試験群:ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを1回投与、その2週間後にニボルマブ3mg/kgを1回投与
初回投薬から6週以内に手術を施行
・評価項目:
[主要評価項目]安全性、忍容性、3年無病生存率(DFS)
[副次評価項目]病理学的効果、ctDNA解析など
病理学的奏効率(pRR:原発巣の残存腫瘍が50%以下)、主要病理学的奏効率(mPR:原発巣の残存腫瘍が10%以下)、病理学的完全奏効率(pCR:原発巣とリンパ節の両方共に残存腫瘍が0%)

 主な結果は以下のとおり。

・NICHE-1試験からの32例とNICHE-2試験からの80験の全症例が安全性解析の対象となり、5例が除かれた107例が有効性判定に用いられた。
・症例背景は、年齢中央値が60歳、病期分類は高リスクIII期が74%であった。高リスクの内訳はT4aが35%、T4bが28%、N2が62%、T4かつN2だったのが48%だった。
・免疫関連性有害事象については61%の症例に認められ、Grade3以上の事象は膵臓機能障害、肝炎、筋炎、皮膚障害などで4%に発現した。
・全症例で中央値5.4週間以内にR0切除術が施行された。
・各奏効率はpRRが99%、mPRが95%、pCRは67%と高率であった。とくにリンチ症候群症例ではpCRが78%であった。
・14例で術後化学療法が追加され、追跡期間中央値13.1ヵ月時点で、1例も再発の報告は無かった。

 演者は「dMMR大腸がんに対する術前の免疫チェックポイント阻害薬の使用は、今後の標準治療となる可能性を示した」と結んだ。

(ケアネット)

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