生後6ヵ月以上へのモデルナ製とファイザー製コロナワクチンを承認/FDA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/28

 

 米国食品医薬品局(FDA)は2022年6月17日付のプレスリリースで、生後6ヵ月以上の小児に対して、モデルナ製とファイザー製の新型コロナワクチンについて緊急使用許可(EUA)したことを発表した。5歳未満への新型コロナワクチンの接種が許可されたのはこれが世界初となる。

 モデルナ製ワクチン(商品名:スパイクバックス)は、米国でこれまで18歳以上の成人のみに使用が許可されていたが、今回の承認で、生後6ヵ月以上のすべての小児に対して使用が可能となり、それぞれの年齢層に合わせた用量を、初回シリーズとして1ヵ月間隔で2回投与する。年齢層別の1回の用量は、生後6ヵ月~5歳では25μg(0.25mL)、6~11歳では50μg(0.5mL)、12~17歳では100μg(0.5mL)となっている。また、免疫不全のある小児については、2回目の少なくとも1ヵ月後に3回目を投与することができる。

 モデルナ製ワクチンについて、米国とカナダで実施された無作為化盲検プラセボ対照臨床試験によると、各年齢層で上記と同量のワクチンを2回接種した小児を、18~25歳のワクチンを2回接種した成人と比較したところ、成人と同等の免疫反応が確認された。また、COVID-19の既往がない6ヵ月~5歳約5,400例、および12~17歳340例において、2回目の接種から14日以降のCOVID-19に対する予防効果は、6~23ヵ月では50.6%、2~5歳では36.8%、12~17歳においては93.3%の有効性が示された。

 すべての小児年齢層で安全性と忍容性が確認されており、死亡例や心筋炎・心膜炎を発症した例は報告されていない。ワクチンの副反応として、生後6ヵ月~5歳で最も多く報告された局所症状は、注射部位の痛み、発赤、腫脹、発熱、注射をした腕(または大腿部)のリンパ節の腫脹・圧痛だった。生後6~36ヵ月の年少児では、神経過敏/泣く、眠気、食欲不振、37ヵ月~5歳の年長児では、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、吐き気・嘔吐、関節のこわばりなどが多く報告された。6~17歳では、注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労感、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、注射と同じ腕のリンパ節の腫れ、吐き気と嘔吐、発熱などの副反応が報告された。

 一方、ファイザー製ワクチン(商品名:コミナティ)については、すでに5~17歳に対する3回の接種が承認されていた。今回承認された6ヵ月~4歳へのワクチン接種では、初回シリーズとして用量3μg(0.2mL)を3回行い、最初の2回の投与は3週間間隔で投与し、3回目は2回目の少なくとも8週間後に投与することとなっている。

 Pfizer(米国)の同日付のプレスリリースによると、ファイザー製ワクチンについて、6ヵ月~4歳の小児4,526人を対象とした第II/III相無作為化比較試験結果において、オミクロン株流行期に、2回目の接種から少なくとも2ヵ月後に3回目の3μgの接種によって、ワクチンによる強い免疫反応が確認され、プラセボ群と同様の安全性も認められたという。本試験でのSARS-CoV-2に対する中和幾何平均抗体価(GMT)は、3回目の接種から1ヵ月後で、2~4歳では1,535.2(95%信頼区間[CI]:1,388.2~1,697.8)、6~23ヵ月では1,406.5(95%CI:1,211.3~1,633.1)であり、両年齢層で30μgを2回接種した16~25歳と同等の抗体反応が確認された。

 本ワクチンの副反応については、6ヵ月~4歳の小児において3回目の投与後少なくとも2ヵ月間追跡し、神経過敏、食欲不振、発熱と痛み、圧痛、発赤、注射部位の腫脹が最も多く報告されたという。

(ケアネット 古賀 公子)