レビー小体型認知症の前段階における精神病理学的特徴

レビー小体型認知症(DLB)では、発症前に幻覚、抑うつ症状、緊張病症状、認知機能障害、妄想など、さまざまな精神症状の出現が高率で認められる。しかし、前段階DLBで認められるこれらの精神症状の特徴は、よくわかっていない。砂川市立病院の内海 久美子氏らは、顕著な認知機能障害が出現する前の前段階DLB患者における精神病理学的特徴を明らかにするため、検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月24日号の報告。
認知症ではなく重度の精神症状を発症したが、長期観察後にDLBと診断された前段階DLB患者21例を対象に精神病理学的特徴を分析した。DLBの確認は、シンチグラフィの示唆的および支持的なバイオマーカーを用いて行った。
主な結果は以下のとおり。
・精神病理学的特徴には、さまざまな症状が含まれていたが、主に緊張病症状、幻覚妄想、抑うつ症状および/または躁症状の3つのカテゴリーに集約された。
・緊張病症状は9例、幻覚妄想は5例、抑うつ症状および/または躁症状は7例で観察された。
・21例中7例において、縦断観察期間中にせん妄が認められた。
・21例中20例は、何のきっかけもなく精神症状が繰り返し出現していた。
・最初の精神症状出現から認知機能障害発現までの平均期間は、9.1±4.6年であり、その後71.3±6.1年でDLBと診断された。
著者らは「緊張病症状、幻覚妄想、抑うつ症状および/または躁症状、せん妄などの精神症状が認められる非認知症高齢者は、症候性精神疾患またはDLBなどの精神認知機能障害の前段階である可能性が示唆された。そのため、正確な診断を行うためにも、さらに広範なトレーニング(放射性ニューロイメージングなど)が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)
関連記事

レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴
医療一般 日本発エビデンス(2020/08/26)

レビー小体型認知症の診断基準~最新情報と今後の方向性
医療一般 日本発エビデンス(2019/12/09)

認知症まとめ【クローズアップ!精神神経 7疾患】
クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26)
[ 最新ニュース ]

2価RSVpreFワクチン、第IIa相チャレンジ試験で有効性を確認/NEJM(2022/07/04)

オミクロン株BA.4/BA.5、BA.2より免疫逃避しやすい?/NEJM(2022/07/04)

睡眠障害に対するスボレキサントからレンボレキサントへの切り替え治療の有効性(2022/07/04)

抗菌糸の使用でSSI発生率低減~日本人大腸がん患者での大規模研究(2022/07/04)

2,000年前のポンペイ人のゲノム解読に成功(2022/07/04)

減量により肥満男性の精子数が上昇(2022/07/04)

テレビ視聴1日1時間未満なら心臓病になりにくい?(2022/07/04)

COVID-19ワクチン接種はメンタルヘルスを改善しない?(2022/07/04)
[ あわせて読みたい ]
きれいにリフォームしても、高く売れるわけじゃないんです【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第26回(2021/09/27)
まだ紙カルテだけど問題ない?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第25回(2021/09/13)
片頭痛特集まとめインデックス(2021/08/31)
「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第24回(2021/08/23)
院長が倒れた!残された家族は書類探しに大わらわ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第23回(2021/08/06)
経営資料は秘密!? それは「身体を見ずに診察して」と同じですよ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第22回(2021/07/26)
アクティブラーニングで英語習得!医療者限定のオンラインプログラム開講(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 膠原病(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(肝胆膵)(2021/07/15)