経口コロナ治療薬molnupiravir、第III相中間解析で入院・死亡リスクを半減/米・メルク

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/05

 

 米・メルクは10月1日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬molnupiravir(MK-4482/EIDD-2801)について、日本を含む世界173施設で実施中の第III相試験(MOVe-OUT)の中間解析結果を公表した。2021年8月5日までに登録された軽度~中等度のCOVID-19患者775例について解析したところ、molnupiravir群では投与後29日目までの入院・死亡がプラセボ群と比べ約50%減少したことがわかった。MOVe-OUT試験は最終的に1,550人規模の被験者で実施する予定だったが、中間解析のポジティブな結果を受け、新たな被験者の登録はすでに停止している。メルクは、近くFDAに対し緊急使用許可(EUA)を申請する方針。承認されれば、COVID-19に対する初の経口治療薬となる見通しだ。

 molnupiravirは、経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログで、SARS-CoV-2を含むさまざまなRNAウイルスの複製を阻害する。SARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデル、またSARS-CoV-1、MERSに対する活性が認められている。

 MOVe-OUT試験では、5日間、12時間ごとに経口投与(計10回投与)したmolnupiravir群で、投与後29日目の入院が7.3%(28/385例)で、プラセボ群の14.1%(53/377例)と比べ、有意に減少した。プラセボ群では8例の死亡が報告されたが、molnupiravir群では報告されなかった。有害事象の発生率は、両群で同程度だった。

 メルクでは、すでにmolnupiravirの量産体制に入っており、2021年末までに1,000万人分を製造予定で、22年にはさらに多くの製造量を見込んでいるという。米国政府との間では、今年の初頭に約170万人分を供給する調達契約をすでに締結しており、他国の規制当局との協議も進めている。

(ケアネット 鄭 優子)