うつ病の1次予防効果

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/06

 

 うつ病に対する1次予防は、疾患の経過を改善する可能性があるものの、その効果についてはよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、うつ病の1次予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。

 2020年6月までに公表された研究を、PubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した(PRISMA and RIGHT)。抑うつ症状(効果測定:標準化平均差[SMD])またはうつ病性障害(効果測定:相対リスク[RR])の1次予防のための介入について、メタ解析を実施した。結果は、年齢範囲、対象集団(一般および/またはリスクあり)、介入タイプにより層別化した。品質(AMSTAR/AMSTAR-PLUS content)および信頼性(高中低で評価)も評価した。推奨事項の評価には、USPSTF grading systemを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・46件のメタ解析(研究数:928件、患者数:28万6,429例、平均年齢:22.4歳、女性の割合:81.1%)を含めた。
・エフェクトサイズは、抑うつ症状では0.08~0.53(SMD)、うつ病性障害では0.90~0.28(RR)であった。
・RCTのみを含む感度分析では、結果に影響を及ぼさなかった。
・AMSTAR中央値は9(IQR:8~9)、AMSTAR-PLUS content中央値は4.25(IQR:4~5)であった。
・メタ解析のエビデンスの信頼性は、不十分/低が43件(93.5%)、中が2件(4.3%)、高が1件(2.2%)であった。
・若年成人における心理社会的介入、プライマリケアにおける心理学的介入と教育学的介入の組み合わせは、抑うつ症状の軽減に対し中程度の信頼性を有していた。
・脳卒中患者のうつ病性障害に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の予防投与は、高い信頼性を有していた。
・本研究の限界として、介入の不均一性および長期的な有効性評価の欠如が挙げられる。

 著者らは「うつ病に対する1次予防的介入は効果的な可能性がある。とくに、脳卒中後のSSRI予防投与や高リスク群(小児、青年、若年成人または出産前、周産期の女性)に対する心理社会的介入を検討する必要がある」としている。

(ケアネット)