青年期うつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカー

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/05

 

 双極性障害の約半数は、少年期または青年期に発症する。双極性障害の初期段階では、通常うつ病エピソードが認められ、うつ病と鑑別することが困難である。しかし、青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するための客観的なバイオマーカーは限られている。中国・上海交通大学医学院のXiaohui Wu氏らは、青年期のうつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカーについて、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2021年8月25日号の報告。

 2009~18年に双極性障害およびうつ病で精神科病棟に入院した患者を対象に、基本的な人口統計データおよび入院後最初の血液検査データを収集した。対象患者は、10~18歳の双極性障害およびうつ病患者261例(双極性障害:101例、うつ病:160例)。バイナリロジスティック回帰の変数増減法(Forward-Stepwise Selection)を使用して、性別ごとのサンプル全体とサブグループの予測モデルを構築した。中国の別の病院から一致させた255例を用いて、独立した外部検証を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・全体および男女のサブグループにおける回帰モデルの精度、曲線化面積(AUC)は以下のとおりであった。
 ●青年期全体(精度:73.3%、AUC:0.785)
 ●男性(精度:70.6%、AUC:0.816)
 ●女性(精度:75.2%、AUC:0.793)
・最終的に本モデルに含まれた予測因子は、年齢、直接ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、遊離トリヨードサイロニン、C反応性蛋白であった。
・外部検証において、鑑別に問題は認められなかった(AUC:0.714)。

 著者らは「青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するうえで、一般的な臨床検査値が役立つ可能性があることが示唆された」としている。

(ケアネット)