ADHD児の睡眠問題と母親のメンタルヘルスとの関連

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/30

 

 小児の注意欠如多動症(ADHD)では、一般の小児と比較し、睡眠障害が多く認められる。また、ADHD児の両親は、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いことが知られている。この関連は横断研究では報告されているものの、縦断研究は実施されていなかった。オーストラリア・ディーキン大学のChristina A. Martin氏らは、ADHD児の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題(全体的なメンタルヘルス、うつ病、不安、ストレス)との潜在的な双方向の関連を12ヵ月間調査した。Journal of Attention Disorders誌2021年9月号の報告。

 5~13歳のADHD児379例の母親に対し、子供の睡眠状態(子供の睡眠習慣質問票)および自分自身のメンタルヘルス(うつ病不安ストレススケール)について、12ヵ月間で3度(ベースライン、6ヵ月、12ヵ月)の調査を行った。子供の年齢、性別、ADHD症状の重症度、ADHD治療薬の使用、併存疾患(自閉スペクトラム症、内在化障害、外在化障害)、母親の年齢、社会経済的状況でコントロールし、自己回帰クロスラグパネル分析を用いてデータ分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・子供の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題は、12ヵ月間にわたり非常に安定して認められた。
・長期的な関連は明らかであり、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親の全体的なメンタルヘルスおよび不安の予測因子であった。
・しかし、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親のうつ病やストレスを予測しなかった。
・母親のメンタルヘルス問題が、調査期間を通じて子供の睡眠障害を予測することは、ほとんどなかった。

 著者らは「ADHD児の睡眠問題が、その後の母親のメンタルヘルス問題に影響を及ぼすことが示唆された。そのため、子供の睡眠を改善するための介入は、時間とともに母親のメンタルヘルスの改善につながる可能性があると考えられる。そして、睡眠障害を有する子供を持つ母親では、潜在的なメンタルヘルス問題を抱えている可能性があることを認識する必要がある」としている。

(ケアネット)

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