倦怠感は日中の過度な眠気と独立して抑うつ症状と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/02

 

 一般集団における倦怠感に対する睡眠障害や併存疾患の影響について、韓国・ソウル大学校病院のJun-Sang Sunwoo氏らが、調査を行った。Sleep & Breathing誌オンライン版2021年7月22日号の報告。

 2018年に実施された韓国の横断調査より得られたデータを用いて、分析を行った。倦怠感の評価には、Fatigue Severity Scaleを用いた。就業日の睡眠時間、クロノタイプ、休日の睡眠不足を解消するための睡眠、日中の過度な眠気などの睡眠習慣および抑うつ症状、その他の併存疾患について調査した。倦怠感を従属変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象は、19~92歳の成人2,493人(男性の割合:50%、平均年齢:47.9±16.4歳)であった。
・就業日の平均睡眠時間は、7.1±1.1時間であり、倦怠感の有病率は、31%であった。
・潜在的な交絡因子で調整した後、倦怠感は以下の因子との関連が認められた。
 ●日中の過度な眠気(オッズ比[OR]:3.751、95%信頼区間[CI]:2.928~4.805)
 ●抑うつ症状(OR:3.736、95%CI:2.701~5.169)
 ●睡眠不足の認識(OR:1.516、95%CI:1.249~1.839)
 ●休日の睡眠不足を解消するための睡眠(OR:1.123、95%CI:1.020~1.235)
 ●アルコール摂取の少なさ(OR:0.570、95%CI:0.432~0.752)
 ●運動不足(OR:0.737、95%CI:0.573~0.948)
・サブグループ解析では、日中の過度な眠気が認められない人において、倦怠感と就労日の睡眠時間の短さとの関連が認められた(OR:0.899、95%CI:0.810~0.997)。
・日中の過度な眠気が認められる人において、倦怠感と関連が認められた因子は、抑うつ症状(OR:2.842、95%CI:1.511~5.343)とアルコール摂取の少なさ(OR:0.476、95%CI:0.247~0.915)であった。

 著者らは「日中の過度な眠気と独立して、倦怠感と抑うつ症状の有意な関連が認められた。倦怠感、抑うつ症状、睡眠の病態生理学的関連を明らかにするためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)