ビソプロロール錠0.625mg供給不足に伴う対応/日本心不全学会

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/19

 

 16日、ビソプロロール錠の供給が多くの地域で不足する事態となっていることを受け、日本心不全学会が提言を公表した。本剤は、左室駆出率が低下した心不全の標準治療薬として重要な役割を果たすものであり、供給が安定するまでの間の対応策として以下が提案された。

(1)供給不足に伴いβ遮断薬の投薬を中止することは避ける。
(2)ビソプロロール錠0.625mgを処方する場合、できる限り長期処方を避ける。
(3)ビソプロロール錠2.5mgの供給がある場合は、用量に応じて0.25錠(0.625mg)あるいは0.5錠(1.25mg)として同用量を継続する。
(4)投与継続が困難な場合、以下を参考にカルベジロール錠へ切り替える。

 ただし、下記の対比を参考に気管支喘息/肝障害の合併等の有無には注意を要する。

・選択性:ビソプロロールはβ1選択性(β1:β2=75:1)、カルベジロールはαβ(β:非選択性)
・陰性変力作用:ビソプロロール>カルベジロール※β1選択性および inverse agonism 作用の相違による
・陰性変時作用:ビソプロロール>カルベジロール
・気管支喘息:ビソプロロールは慎重投与、カルベジロールは禁忌
・重度末梢循環障害:ビソプロロールは禁忌、カルベジロールは慎重投与
・排泄:ビソプロロールは腎排泄(中等度以上の腎機能障害で血中濃度上昇あり)、カルベジロールは胆汁排泄型(腎機能障害の影響が少ない)
・最大用量:ビソプロロールは5mg/日、カルベジロールは20mg/日
・用量対比:ビソプロロール0.625mg/日⇔カルベジロール2.5mg/日
・半減期(健康成人):ビソプロロールは8.6時間(5mg単回投与)、カルベジロールは7.72時間(20mg単回投与)

(5)ビソノテープへの切り替えにおいては、心不全には適応がなく、本態性高血圧および頻脈性心房細動のみの適応であり、心不全治療薬としてそのまま切り替えることは推奨できない。

 ただし、適応があり切り替える場合の用量の対比は以下のとおり。

・ビソプロロール錠0.625mg/日⇒ビソノテープ1mg/日
・ビソプロロール錠1.25mg/日⇒ビソノテープ2mg/日
・ビソプロロール錠2.5mg/日⇒ビソノテープ4mg/日
・ビソプロロール錠5mg/日⇒ビソノテープ8mg/日

 なお、7月には日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会から、エルデカルシトールおよびアルファカルシドール供給不足に伴う骨粗鬆症患者への対応に関して、同様の提言が発出されている。

(ケアネット 堀間 莉穂)