双極性障害に対する認知行動療法の有効性~システマティックレビュー

双極性障害は、慢性的な経過をたどり、死亡リスクに重大な影響を及ぼす精神疾患である。双極性障害の生涯有病率は、1~1.5%といわれており、躁症状とうつ症状またはその両方が認められる混合状態の再発エピソードを特徴としている。双極性障害の治療には、薬理学的および心理学的治療があり、認知行動療法(CBT)の有用性が示されているものの、現在のエビデンスでは十分な臨床情報が得られていない。ペルー・Hospital de Emergencias Villa El SalvadorのGlauco Valdivieso-Jimenez氏は、双極性障害に対するCBT単独療法または薬理学的治療の補助療法としてのCBT併用療法の有効性を判断するため、システマティックレビューを実施した。Revista Colombiana de Psiquiatria誌オンライン版2021年7月6日号の報告。
抽出された17件の文献のシステマティックレビューを実施した。選択基準は、18~65歳の双極性障害患者を対象に、薬理学的治療の有無にかかわらずCBTの有効性を評価した定量的または定性的な英語文献とした。除外基準は、システマティックレビューおよびメタ解析文献、双極性障害に加えて他の診断を有する患者を含み疾患別に結果を評価しなかった文献、DSMまたはICDの双極性障害診断基準を満たしていない患者を対象とした文献とした。双極性障害およびCBTをキーワードとして用いて、2020年1月5日までの文献を各種データベース(PubMed、PsycINFO、Web of Science)より検索した。
主な結果は以下のとおり。
・レビューには、1,531例が含まれた。
・加重平均年齢は、40.703歳であった。
・CBTのセッション数は8~30セッション、合計時間は45~120分であった。
・すべての研究において、抑うつ症状レベルおよび躁症状の重症度の改善、機能の改善、再発再燃の減少、不安症状レベルおよび不眠の重症度の改善が認められた。
著者らは「双極性障害に対するCBT単独または併用療法は、治療後およびフォローアップ中に有用な結果をもたらすと考えられる。CBTにより、抑うつ症状や躁症状の軽減、再発再燃の減少、心理社会的機能レベルの上昇が期待できる」としている。
(鷹野 敦夫)
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