抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の治療に関するガイダンス

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/31

 

 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症のマネジメントオプションおよび治療における有効性、忍容性、薬物相互作用、禁忌、投与計画などの考慮すべきポイントについて、米国・ミズーリ大学のMatthew M. Rusgis氏らが評価を行った。American Journal of Health-System Pharmacy誌オンライン版2021年2月26日号の報告。

 主な内容は以下のとおり。

・高プロラクチン血症は、抗精神病薬の使用により発現する副作用の1つである。
・高プロラクチン血症のマネジメントにおいて、まずは以下の手段を検討する。
 ●高プロラクチン血症と関連してる可能性の高い抗精神病薬の減量
 ●高プロラクチン血症と関連してる可能性の高い抗精神病薬の中止
 ●高プロラクチン血症リスクの低い抗精神病薬への切り替え
・これらのオプションは、必ずしも実用的であるとはいえず、精神症状の再発リスクを考慮する必要がある。
・その他のマネジメントオプションとして、以下の薬剤による補助療法が検討可能である。
 ●アリピプラゾール
 ●ドパミン作動薬(カベルゴリン、ブロモクリプチン)
 ●メトホルミン
 ●ハーブサプリメント
・Embase、PubMed、Google Scholarより、高プロラクチン血症や上記治療薬などのキーワードを用いて検索したところ、入手可能なエビデンスより、次の4点が抽出された。
(1)アリピプラゾールは、プロラクチンレベルを正常範囲まで低下させるうえで、安全かつ有用な薬剤である。
(2)カベルゴリン、ブロモクリプチンは、プロラクチンレベルを低下させる。しかし、カベルゴリンは、心臓弁膜症などの重篤な副作用と関連している可能性がある。
(3)メトホルミンは、プロラクチンレベルの軽度な低下が期待できる。
(4)抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に対する漢方薬(カモミール、芍薬甘草湯)の使用に関するデータは限られていた。

 著者らは「抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症のマネジメントにおいて、抗精神病薬の治療レジメンを変更できない患者でも利用可能な治療方法はいくつかある。抗精神病薬を使用している患者の多くは、慢性疾患であり、長期にわたる薬剤使用が必要であることを考慮すると、高プロラクチン血症に対する治療戦略の有効性、安全性を判断するためには、短期だけでなくより多くの長期的な研究が必要であろう」としている。

(鷹野 敦夫)