汎HER阻害薬poziotinib、EGFRおよびHER2 exon20変異NSCLCに有望な評価/ESMO-TAT2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/18

 

 2021年3月1〜2日に開催されたESMO Targeted Anticancer Therapies(TAT)Virtual Congress 2021の発表によると、EGFR exon20変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、汎HER阻害薬poziotinibは臨床的利益と許容できる安全性を示した。さらにこの研究では、EGFRまたはHER2のexon20変異を有する患者において、poziotinibの1日2回の投与が1回投与に比べ安全性プロファイルが改善される可能性があることを示した。このpoziotinibの研究はマルチコホート第II相ZENITH20試験である。

・対象:
[コホート3]転移のある未治療のEGFR exon20変異NSCLC患者79例
[コホート5」EGFRまたはHER2 exoin20変異NSCLC患者40例
・介入:
[コホート3]poziotinib16 mg/日
[コホート5」poziotinib1日1回(10、12、16mg/回)と1日2回(6mg、8mg/回)に無作為に割り付け。
・評価項目:客観的奏効率(ORR)奏効期間、無増悪生存期間(PFS)および安全性

 主な結果は以下のとおり。

[コホート3]
・追跡期間中央値9.2ヵ月時点で、79例中12例が治療を継続していた。
・ORRは27.8%、疾患制御率は86.1%であった。
・DoR中央値は6.5ヵ月であった。
・ITT解析患者の91%が腫瘍縮小を示した。
・PFS中央値は7.2ヵ月であった。
・有害事象(AE)プロファイルは、第2世代EGFR-TKIと同様であった。Gade3以上のAEは皮疹が33%、下痢が23%で発現した。
[コホート5]
・AE発現率は16mg1日1回の31%に対し、8mg1日2回では21%、12mg1日1回の27%に対し、6mg1日2回では16%と、1日2回投与群で低かった。

 これらのデータは、poziotinibの16mg/日投与が転移のある未治療のEGFR exoin20変異NSCLC患者において臨床的に意味のある活性を有することを示し、さらに、1日2回投与とすることで、忍容性と安全性が改善されたことを示唆したと、著者らは述べている。

(ケアネット 細田 雅之)

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