統合失調症の心臓突然死リスク、抗精神病薬と年齢との関係

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/12/25

 

 抗精神病薬を服用している統合失調症患者の心臓突然死リスクに対する年齢の影響について、台湾・台北医科大学のPao-Huan Chen氏らが調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2020年11月号の報告。

45~65歳の統合失調症患者ではリスペリドン服用により突然死リスクが増加

 対象は、台湾全民健康保険研究データベースおよび死亡診断書システムより抽出した、2000~16年に心臓突然死で死亡した統合失調症患者1,836例。14日間のウインドウ期間を設定したクロスオーバー研究を実施した。サブグループ解析では、患者の年齢で3群(45歳未満、45~65歳、66歳以上)に層別化し、抗精神病薬を服用している統合失調症患者の心臓突然死リスクに対する年齢の影響を評価した。

 抗精神病薬を服用している統合失調症患者の心臓突然死リスクに対する年齢の影響を評価した主な結果は以下のとおり。

・66歳以上の統合失調症患者では、抗精神病薬と心臓突然死リスクとの間に関連性は認められなかった。
・45歳未満の統合失調症患者では、ゾテピン服用により、心臓突然死リスクの有意な増加が認められた(調整済み相対リスク[aRR]:2.68、p=0.046)。
・45~65歳の統合失調症患者では、flupentixol(aRR:5.30、p=0.004)およびリスペリドン(aRR:1.68、p=0.01)服用により、心臓突然死リスクの有意な増加が認められた。

 著者らは「統合失調症患者の心臓突然死リスクに対する各抗精神病薬の影響が明らかとなった。臨床医は、抗精神病薬治療によるリスクとベネフィットを評価する際、患者の年齢を考慮する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)