PD-L1陽性NSCLC、アテゾリズマブへのベバシズマブ上乗せ効果は?(WJOG@Be)/ESMO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/15

 

 抗PD-1/L1抗体の単剤治療は、高PD-L1発現非小細胞肺がん(NSCLC)における生命予後の改善を示す。一方、抗VEGF抗体ベバジズマブは、前臨床において抗PD-1/L1抗体の活性を強化することが報告されている。九州がんセンター 呼吸器腫瘍科の瀬戸 貴司氏は、未治療のPD-L1高発現NSCLCに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法に関する非盲検単群第II相WJOG@Be試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。同併用療法が高い奏効率を示し、Grade4以上の有害事象はなかったと報告した。

・対象:未治療のPD-L1高発現(TPS≧50)非扁平上皮NSCLC(PS 0〜1)40例
・介入:アテゾリズマブ1,200mg+ベバシズマブ15mg/kg 3週ごと最大2年間、病勢進行あるいは忍容不能な副作用発現まで投与
・評価項目:
[主要評価項目]客観的奏効率(ORR)
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・ORR は64.1%であった。
・PFS中央値は15.9ヵ月、12ヵ月PFS率は54.9%であった。
・1年OS率は70.6%であった。
・DoR中央値は10.4ヵ月、12ヵ月DoR率は48.2%であった。
・Grade3以上の有害事象発現率は38.5%であった。主なものは脳症、大腸炎、胆嚢炎、気管支出血であったが、Grade4以上のものはなかった。

 今回の結果を受けて瀬戸氏は「アテゾリズマブとベバシズマブの併用はPD-L1高発現の非扁平上皮NSCLCに対する治療オプションとなりうる」と述べるとともに、「ICI単独治療、ICI+化学療法±ベバシズマブとの第III相試験を行うべき」との見解を示した。

(ケアネット)