メタボ健診の特定指導に心血管リスク低減効果なし

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/12

 

 京都大学の福間 真悟氏らの疫学研究により、わが国の特定健康診査(メタボ健診)を受けた勤労世代の男性において、特定保健指導によって体重は1年後にわずかに減少したが、血圧、HbA1c、LDLコレステロールなどの心血管リスク因子改善が認められなかったという結果が発表された。著者らは「特定健康診査の費用が高額(年間約160億円)であることを考慮し、そのシステムを再評価する必要がある」としている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年10月5日号掲載の報告。

 著者らは、2013年に健診後、1年以上追跡できた40~74歳の男性約7万4,693人を1~4年間追跡した。腹囲85cm以上、高血圧、糖尿病などの心血管リスク因子を1つ以上有している人では、保健指導を受けることが必要とされていた。統計方法は、回帰不連続デザイン(regression discontinuity design:RDD)で実施された。RDDとは、ある連続変数(ここでは腹囲)の値が特定の値より高いか低いかで介入群(ここでは保健指導)に割り付けることにより、介入の効果を推定する方法である。本研究では、腹囲85cm以上か否かで分け、保健指導の効果におけるその後の腹囲、体重、BMIへの影響のほか、血圧、血糖値(HbA1c)やLDLコレステロールへの影響についても検討した。保健指導の内容は、トレーニングを受けた指導員による運動・食事の指導で、必要に応じて医療機関受診などの指導を受けることになっていた。なお、介入群と非介入群についてintention-to-treat解析を行ったが、実際に指導を受けた人は介入群の15.9%にすぎず、指導を受けた人についてtreatment-on-the treated(ToT)解析により検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者の平均年齢は52.1歳、ベースラインでの平均腹囲は86.3cm(腹囲が閾値の-6~0cmの群では82.2cm、0~6cmの群では87.7cm)であった。
・腹囲が閾値(85cm)より大きく保健指導を受ける群において、腹囲は1年後に-0.34 cm(p=0.02)、体重-0.29kg(p=0.005)、BMIは-0.10(p=0.008)とわずかではあるが減少した。しかし3、4年後には、有意差は消失し効果がみられなかった。
・心血管リスクに関して、収縮期血圧、拡張期血圧、HbA1c、LDLコレステロールのいずれも1~4年間で改善が認められなかった。
・実際に保健指導を受けた人のみで検討したToT解析では、1年後に体重は-1.56kg(p=0.02)、BMIは-0.61(p=0.01)と、いずれもわずかな減少がみられたが、血圧などの心血管リスクの軽減はみられなかった。

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メタボ健診の保健指導に心血管リスク低減効果なし~見直しが必要(解説:桑島 巖 氏)-1296

コメンテーター :桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

東京都健康長寿医療センター顧問

J-CLEAR理事長