職場における不眠症介入~メタ解析

スペイン・セビリア大学のJuan Vega-Escano氏らは、従業員の不眠症の改善または軽減に対する介入の影響を特定および評価するため、ランダム化臨床試験を通じたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年9月2日号の報告。
PRISMAおよびMARSステートメントの推奨事項に従って、PubMed、Web of Science、CINHAL、PsycINFOのデータベースよりシステマティックに文献を検索した。アウトカムの尺度として、変量効果モデルと不眠症重症度指数を用い、メタ解析を実施した。バイアスリスクとエビデンスの質の評価には、コクラン共同計画ツールとGRADEシステムをそれぞれ用いた。
主な結果は以下のとおり。
・システマティックレビューで22件の研究が抽出され、メタ解析には12件を用いた。
・従業員のサンプル数は827例で、14の介入グループを作成した。
・最も用いられていた介入は、認知行動療法であった。
・平均間の推定差では、介入は不眠症状軽減に対する中程度の効果が認められ(MD:-2.08、95%CI:-2.68~-1.47)、不均一性の程度に有意な差は認められなかった(p=0.64、I2=0%)。
・エビデンスの質とバイアスリスクは、中程度であった。
著者らは「職場における不眠症への介入は、従業員の健康を改善するのに効果的である。週間の睡眠時間の増加や入眠潜時の短縮は、睡眠の質を改善し、不眠症状を軽減させる可能性が示唆された。仕事面では、生産性向上、プレゼンティズムの改善、燃え尽き症候群の対策につながるであろう」としている。
(鷹野 敦夫)
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