キャリアアップに毎月支出する金額は?/医師1,000人に聞きました

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/28

 

 例年ならば秋の学術集会が盛んに開催されている季節だが、新型コロナウイルス感染症は、WEB学会という新しい形の学術集会を誕生させ、夏から順次開催されている。こうした学術集会などを通じ医師や医療従事者は、知識・知見の収集と学習、技術の習得を行っているが、実際、医師の学習やキャリア形成はどうしているのか。8月20日(木)~26日(水)に会員医師1,000人に協力をいただき、その実態を聞いた。

 下記にアンケートの概要を報告する。

20・30代の医師の目標は「学位」より「専門医」

 回答年代別では、50代が29%と1番多く、次いで40代(24%)、30代(19%)の順だった。診療科では、一般内科(240人)、消化器科(88人)、循環器内科/心臓血管外科(73人)の順で多かった。

 質問として20・30代の医師(n=250)に「今一番興味のあるキャリアに関することは何ですか」(単回答)と聞いたところ、「専門医資格の取得」(113名)、「診療技術・手技など技術の習得」(52名)、「博士などの学位の取得」(38名)の順で多かった。学位よりも臨床上の実績・経験を研鑽したいという傾向が見受けられた。また、開業や起業に興味を持つ会員医師も10名以上みられた。

 同じ対象群に「専門・非専門のキャリア向上のため、どのような学習をされていますか」(複数回答)と聞いたところ「専門書籍・国内外のジャーナルで独学」(128名)が1番多く、ついで「所属学会・研究会の講習会に参加」(114名)、「CareNet.comなどの医療者向けウェブサイトで学習」(63名)の順で多かった。また、「キャリア形成などに1ヵ月にどのくらいお金をかけていますか」(単回答)という質問では、「1万円以内」(147名)が1番多く、毎月の学習費は抑えられている傾向がみられた。

 自由回答として「キャリア形成で参考にしている動画サイトや書籍を教えてください」では、CareNet.comをはじめとする医療系サイトのほか、Lancetなどの有名ジャーナルが並んだが、中にはYouTubeのお金に関するコンテンツやTwitterなどSNSからという回答もあった。

医師の半数の学習は「所属学会・研究会の講習会」が主体

 質問として全医師(n=1,000)に「専門・非専門のキャリア向上のため、どのような学習をされていますか」(複数回答)と聞いたところ「所属学会・研究会の講習会に参加」(468名)と1番多く、ついで「専門書籍・国内外のジャーナルで独学」(427名)、「CareNet.comなどの医療者向けウェブサイトで学習」(396名)の順番だった。

 また、「キャリア形成などに1ヵ月にどのくらいお金をかけていますか(単回答)では、「1万円以内」(644名)が1番多く、年代を問わずキャリア形成への支出は少なかった。

 40代以上の会員医師(n=750)に「医師以外のキャリアで考えている職種などはありますか」(単回答)という質問では、「医師以外のキャリアは考えたことがない」(376名)が1番多く、ついで「キャリアは作らず悠々自適の生活を過ごす」(131名)、「趣味を仕事にする転職」(51名)の順番だった。とくに60代以上の会員医師では、「キャリアは作らず悠々自適の生活を過ごす」(59名)の選択も多かったことから、医師の引退も考えている会員も多いことがわかった。自由回答として「キャリア形成で参考にしている動画サイトや書籍を教えてください」と聞いたところ、20・30代の会員医師と同じ傾向の記載のほか、医療系のウェブサイトでは各専門学会のサイト、一般のウェブサイトでは金融系のサイトを挙げる会員医師が多かった。中にはYouTubeで番組を持っているYouTuber会員もいた。

(ケアネット 稲川 進)