唾液を用いたCOVID-19の検査の注意点/4学会合同ワーキンググループ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/18

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査では、鼻咽頭などからのぬぐい液からのPCR検査、抗原検査が行われているが、検体採取者に感染のリスクを伴うこと、個人防護具やスワブを消費することなど、感染対策においてのデメリットが指摘されてきた。

 本年6月に唾液検体を保険適用とする厚生労働省の通知がなされ、また、7月にはPCR検査および抗原定量検査について、唾液検体を用いた検査の対象を無症状者(空港検疫の対象者、濃厚接触者など)にも拡大する方針を示したことにより唾液による検査の増加は今後、増えるものと予想されている。

 こうした現況に鑑み、新型コロナウイルス検査における4学会(日本臨床検査医学会/日本臨床微生物学会/日本感染症学会/日本臨床衛生検査技師会)合同ワーキンググループは、9月8日に「唾液を用いたPCRや抗原検査における検体採取や検査の注意点」を策定し、公表した。

唾液採取の注意点

 被検者自身が採取するため、方法を正しく理解してもらう必要がある。消化酵素により、感度が低下することが指摘されており、飲食前に採取することが望ましい。ウイルスの物理的除去を避けるため、採取前に歯磨きやうがい、飲食を行わないように指導する。
 どうしても避けられない場合は目安として最低10分、可能であれば30分ほど空ける。
 検体容器(滅菌スクリュースピッツ)に唾液を直接たらすように自然に出す。十分な検体量(1~2mL程度)が取れるまで複数回繰り返す。

 被検者の採取の場合には容器外壁を汚染する可能性があるので、採取容器は、可能であれば被検者自身が酒精綿で清拭する。核酸検査の際は、検体の粘性が強い場合は、溶解液を添加し遠心分離後、上清を用いて核酸を抽出する。ただちに検査を実施するか外部の検査機関に提出する。すみやかに検査が実施できない場合は冷蔵庫(4℃)で保管し、なるべく早く提出する。48時間以内に検査を開始する。

唾液検体の適応

 発症9日目以内の有症状者であれば、PCR(LAMP法含む)検査などの核酸検査と抗原定量検査は、唾液を用いることができる。簡易キットの抗原検査には唾液検体が使用できないことに注意。濃厚接触者のスクリーニングなど、偽陰性を減らすことが優先される場合には、核酸検査を行うことが推奨される。

解釈上の注意点

 検査で陰性となった場合は、「検体に核酸検査あるいは抗原定量検査で検出できるコピー数のSARS-CoV-2が含まれていなかった」ことを意味する。そのため、検査で陰性であればSARS-CoV-2感染を否定できるわけではなく、コピー数が少ないと考えられる感染初期の可能性もある。無症状者では比較的ウイルス量が少ないと想定されることから、唾液と鼻咽頭検体では、核酸検査、抗原定量検査それぞれに結果の乖離が出る可能性もある。疑ったにもかかわらず抗原定量検査が陰性の場合には、必要に応じて唾液を用いた核酸検査、あるいは鼻咽頭による検査も考慮にいれる。

(ケアネット 稲川 進)