慢性不眠症患者へのベンゾジアゼピン中止のための心理社会的介入~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2020/01/22

 

 ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は慢性不眠症の治療には推奨されておらず、心理社会的介入、とくに不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)がBZD中止への潜在的なオプションとして期待される。杏林大学の高江洲 義和氏らは、慢性不眠症患者に対するBZD使用を中止するために心理社会的介入が有用であるかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2019年12月号の報告。

 主要なデータベースより、2018年7月までの文献を検索した。関連文献の検索、データ抽出、コクラン基準にのっとった方法論の質の評価は、2人の独立した研究者により行われた。CBT-Iを評価したランダム化比較試験8件について、レビューおよびメタ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・3ヵ月以内の短期CBT-IとBZD漸減療法は、CBT-I介入を行わなかった場合と比較し、より有効であった(リスク比:1.68、95%信頼区間[CI]:1.19~2.39、p=0.003)。
・また、CBT-I介入は、不眠症状の改善に対しても効果的であった(g:-0.69、95%CI:-1.09~-0.28、p=0.0009)。
・ただし、BZD中止に対するCBT-Iの長期(12ヵ月)介入の有効性に有意な差は認められなかった(リスク比:1.67、95%CI:0.91~3.07、p=0.10)。

 著者らは「BZD系睡眠薬を中止するためのCBT-I介入は、3ヵ月以内だと効果的であることが示唆された。CBT-Iの長期的な有効性を明らかにするためには、さらなる研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)