ベンゾジアゼピンの長期使用リスクを低下させる3つのポイントが判明

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/03

 

 ベンゾジアゼピン系薬剤の長期使用は、罹患率および死亡率の上昇と関連していることが示唆されている。より安全な処方実践を通じて長期使用を予防することについては、これまであまり注目されていなかった。カナダ・Campbell Family Mental Health Research InstituteのNikki Bozinoff氏らは、ベンゾジアゼピン系薬剤の初回処方パターンと服用期間との関連を明らかにするため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。PLoS Medicine誌2026年6月18日号の報告。

 本研究は、カナダ・オンタリオ州の成人182万808例を対象とした、集団ベースのレトロスペクティブコホート研究である。2013~20年にベンゾジアゼピン系薬剤の初回処方を受けた患者を対象に、2021年12月31日までフォローアップ調査を実施した。主要な曝露因子は、初回処方における薬剤の処方期間(7日以下[参照群]、8~14日、15~30日、30日超)とした。また、副次的な曝露因子は、初回処方されたベンゾジアゼピン系薬剤の作用持続時間(短時間作用型、長時間作用型、またはその両方)、初回処方時のベンゾジアゼピン系薬剤の処方数(1剤または2剤以上)、初回処方における1日平均用量(ジアゼパム換算量[DME])とした。主要アウトカムは、ベンゾジアゼピン系薬剤の服用を中止するまでの期間(日数)とした。多変量モデルでは、年齢、性別、不安症、不眠症、物質使用障害、その他の重要な併存疾患や社会人口統計学的特性について調整を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・初回処方時の年齢中央値は53歳(四分位範囲[IQR]:38~67)であり、女性が62.6%を占めた。
・服用中止までの期間中央値は、女性で16日(IQR:6~29)、男性で19日(IQR:6~29)であった。
・初回処方において最も頻繁に処方されたベンゾジアゼピン系薬剤は、ロラゼパム(63.9%)であり、次いでクロナゼパム(17.3%)、ジアゼパム(5.8%)の順であった。
・多変量Cox比例ハザードモデルにおいて、指標となる処方期間が長いことは、ベンゾジアゼピン系薬剤の中止率の低下と関連していた。参照群(7日以下)と比較した調整ハザード比(aHR)は、8~14日で0.54(95%信頼区間[CI]:0.54~0.54)、15~30日で0.26(95%CI:0.25~0.26)、30日超で0.14(95%CI:0.14~0.14)であった。
・ベンゾジアゼピン系薬剤を1剤ではなく2剤以上処方されることも、中止率の低下と関連していた(aHR:0.59、95%CI:0.57~0.61)。
・同様に、短時間作用型のみの処方と比較し、長時間作用型の処方(aHR:0.80、95%CI:0.80~0.80)や短時間作用型と長時間作用型の併用(aHR:0.84、95%CI:0.80~0.88)も、中止率の低下と関連していた。
・DMEが5mg以下と比較して、1日平均用量が5mg超~10mg以下(aHR:1.03、95%CI:1.03~1.03)および10mg超~20mg以下(aHR:1.03、95%CI:1.03~1.04)の場合は、中止率の上昇と関連していた。一方、DMEが20mg超の用量では、中止率の低下との関連が認められた(aHR:0.98、95%CI:0.97~0.98)。
・なお、本知見は、未測定の交絡因子によるバイアスの影響を受けている可能性がある。

 著者らは「大規模な集団ベースのコホート研究により、ベンゾジアゼピン系薬剤の長期使用率の低下には、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方期間を短くすること、単剤で処方すること、短時間作用型薬剤を使用することが関連していることが明らかとなった。これらの知見は、処方慣行を単純に変更するだけでも、ベンゾジアゼピン系薬剤の長期使用や長期使用に伴う罹患率および死亡率を低減できる可能性を示唆している」としている。

(鷹野 敦夫)