男性の顔の皮膚炎、原因は身だしなみ製品にあり

提供元:ケアネット

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公開日:2019/12/18

 

 男性も「顔」に投資する時代が到来しているが、美の追求には代償が伴うようだ。米国・ミネソタ大学のErin M. Warshaw氏らは、男性の顔の皮膚炎(male facial dermatitis:MFD)の特徴、アレルゲン、原因を調べるため、1994~2016年にパッチテストを受けた北米の男性患者5万507例を対象とした後ろ向き横断分析を行った。その結果、MFD患者は1994年の5.6%から2015~16年には10.6%に増大していたこと、MFDでは若い患者が有意に多く、アレルゲンは概して防腐剤、香料、染毛剤、界面活性剤などが含まれているパーソナルケア製品にあったことを報告した。著者は「今回の研究は、男性の皮膚科患者が使用する身だしなみ製品の増大によるリスクと曝露への洞察を提供するものとなった。これにより臨床医はパッチテストの恩恵を受ける患者をより適切に識別し、治療できるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年11月27日号掲載の報告。

 研究グループは、1994~2016年のNorth American Contact Dermatitis Group(NACDG:北米接触皮膚炎研究グループ)のデータを用いて、22年間にわたる後ろ向き横断分析を行った。ここには、複数のセンターで皮膚科学会認定の専門医グループによるパッチテストを受けた5万507例のデータが含まれた。

 顔の皮膚炎は、目、眼瞼、口唇、鼻または顔(未特定)に関係している場合、と定義した。

 主なアウトカムは、MFDを有する患者と有さない患者(MNoFD)の特徴(人口統計学的特徴やアレルゲンなど)を、統計的分析(相対リスク[RR]と信頼区間[CI])を用いて比較することだった。副次アウトカムは、MFDにおけるアレルギーおよび刺激性接触皮膚炎の原因、職業に関連した症例については職業と産業とした。

 主な結果は以下のとおり。

・全体で、MFD群は1,332例(8.0%)、MNoFD群は1万3,732例(82.0%)が含まれた。
・最も多かった疾患部位は、顔(未特定817例[48.9%])、次いで眼瞼(392例[23.5%])、口唇(210例[12.6%])であった。
・平均(SD)年齢は、MFD群47(17.2)歳、MNoFD群50(17.6)歳で、MFD群のほうが有意に若かった(p<0.001)。
・MFD群はMNoFD群より白人種が少なく(RR:0.92、95%CI:-0.90~0.95)、職業関連の皮膚疾患が少なかった(0.49、-0.42~0.58)(p<0.001)。
・MFD群で臨床的に重大な反応と関連した最も一般的なアレルゲンは、メチルイソチアゾリノン(113例、9.9%)、次いで香料ミックス I(27例、8.5%)、ペルーバルサム(90例、6.8%)であった。
・MNoFD群と比較して、MFD群はジメチルアミノプロピルアミン(RR:2.49、95%CI:-1.42~4.37)や、パラフェニレンジアミン(1.43、-1.00~2.04)の使用が多かった(p<0.001)。
・全体として、NACDGアレルゲンの60.5%は、パーソナルケア製品にあった。

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(ケアネット)