成人ADHDにおける金銭的意思決定

提供元:ケアネット

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公開日:2019/11/22

 

 成人期の注意欠如多動症(ADHD)は、金銭的意思決定(financial decision-making:FDM)を含む日常生活において、さまざまな問題と関連している。しかし、成人ADHDのFDMに関する研究は限られており、標準化された客観的手法で検討されたことは、これまでなかった。オランダ・フローニンゲン大学のDorien F. Bangma氏らは、主観的および標準化された客観的尺度の両方を用いて、成人ADHDのFDM能力について調査を行った。Neuropsychology誌2019年11月号の報告。

 対象は、成人ADHD群45例および健康成人対照群51例。個々の金銭的状況、神経心理学的評価、FDMのさまざまな側面を測定するための標準化されたテストおよびアンケートを含む包括的なテストバッテリーを実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・成人ADHDは、対照群と比較し、収入が少ない、借金が多い、預金が少ないなど金銭的状況が有意に悪かった。
・成人ADHDは、金銭的能力を測定する標準化されたテストにおいても、対照群と比較し、スコアが有意に低かった。また、意思決定と将来への影響を測定するテストにおいても同様の結果が得られた。
・成人ADHDは、対照群と比較し、衝動買いが多く、回避的または自発的な意思決定スタイルを用いることがより多く報告された。
・媒介効果は、FDMの2つの測定値で認められたが、これらの測定値の群間差は、統計学的に有意なままであった。

 著者らは「成人ADHDは、FDMに関するいくつかの問題を抱えている。このことは、成人ADHDの金銭的状況の悪さを部分的に説明できる」としている。

(鷹野 敦夫)