限局性前立腺がんの治療において、根治的放射線療法へのホルモン療法の追加は全生存期間(OS)を改善するが、根治的前立腺全摘除術後の術後放射線療法(PORT)にホルモン療法を加えた場合に、同様のOSの改善効果が得られるかは明らかでない。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAmar U. Kishan氏らは「POSEIDON試験」において、PORTにホルモン療法を追加してもOSは改善しないが、PORT前のPSA値が1.6ng/mL超の患者では、長期(24ヵ月)ホルモン療法を加えることでOSの向上が得られる可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年3月14日号で報告された。
ホルモン療法追加の有益性を、メタ解析で定量化
POSEIDON試験は、根治的前立腺全摘除術後のPORTへのホルモン療法追加の有益性の定量化を目的に実施された、無作為化試験の個別患者データを用いたメタ解析である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。
医学関連データベースと関連学会記録集を用いて、2024年12月15日に系統的な文献検索を行い、PORTの効果をホルモン療法追加の有無で比較した無作為化第III相試験を特定した。個別患者データは、「前立腺がん無作為化試験メタ解析(MARCAP)コンソーシアム」を通じて入手した。主要アウトカムはOSとした。
メタ解析では、PORTへのホルモン療法の追加の効果を評価し、短期(4~6ヵ月)と長期(24ヵ月)に分けたホルモン療法追加の効果についても検討した。また、PORT前PSA値とホルモン療法の期間に基づく交互作用検定を行い、PORT前PSA値とOSの非線形関連性をモデル化した。
約6,000例を9年追跡した個別患者データを解析
6件の無作為化試験に参加した6,057例の個別患者データを解析の対象とした。追跡期間中央値は9.0年(四分位範囲:7.2~10.7)だった。
PORTにホルモン療法を追加しても、OSの有意な改善は得られなかった(10年OS:PORT単独群83.6%vs.ホルモン療法追加群84.3%、ハザード比[HR]:0.87[95%信頼区間[CI]:0.76~1.01]、p=0.06)。
ホルモン療法の期間(短期・長期)とこの効果との間に、有意な交互作用は認めなかった(交互作用のp=0.17)。一方、PORT前のPSA値が0.5ng/mL超と0.5ng/mL以下との間には有意な交互作用がみられた(交互作用のp=0.02)。
治療効果の予測バイオマーカーが必要
短期ホルモン療法の有無で効果を評価するためにPORTに無作為に割り付けられた患者(3,938例)では、PORT前PSA値の全範囲において、OSのHRの95%CI上限値が1.0を超えており、有意差を示すPSA値は存在しなかった。
一方、長期ホルモン療法の有無で効果を評価するためにPORTに無作為に割り付けられた患者(1,088例)では、PSA値が1.6ng/mLを超える場合にのみ、OSのHRの95%CI上限値が1.0を下回り、有意差を認めた。
著者は、「ホルモン療法の個別化を進展させるためには、治療効果を予測するバイオマーカーが緊急に必要である」としている。この求めに応じるように現在、PORTへのアパルタミドによる短期ホルモン療法の追加がもたらす治療効果の差を、PAM50が検出可能かを評価する臨床試験(NRG GU006試験)が進行中だという。
(医学ライター 菅野 守)