世界的に認知症有病率が増加しており、修正可能リスク因子を標的とした予防戦略の重要性がますます高まっている。超高齢化社会を迎えた日本において、認知症は高齢者の障害調整生存年数の増加の主な原因となっている。東海大学の和佐野 浩一郎氏らは、日本特有の有病率データを用いて、高齢者における認知症に対する14の修正可能リスク因子を定量化しようと試みた。The Lancet Regional Health誌2026年1月11日号の報告。
日本の全国調査およびコホート研究より抽出した最近公表されている有病率データ、2024年版ランセット委員会による認知症に関する報告書の相対リスクおよびコミュニティ性重み付けを用いて、人口寄与率(PAF)および潜在的影響率(PIF)を算出した。次に、各リスク要因を10%および20%削減した場合、全国の認知症有病率にどのような影響を与えるかをモデル化した。
主な結果は以下のとおり。
・14のリスク要因全体の加重平均PAFは38.9%であり、日本における認知症症例の約4割が予防可能であることが示唆された。
・最大のリスク因子は、難聴(6.7%)、身体活動不足(6.0%)、高LDLコレステロール(4.5%)であった。
・すべてのリスク因子を10%削減すると認知症症例の約20万8,000例が予防可能であり、20%削減すると約40万7,000例を予防できる可能性が示された。
著者らは「日本における認知症予防の取り組みでは、聴覚ケア、身体活動、代謝の改善を優先する必要がある。日本固有のデータは、難聴が認知症の主な原因であることを明らかにしており、聴覚介入に対する国民の意識向上とアクセス向上の緊急性を浮き彫りにしている」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)