境界性パーソナリティ障害への精神薬理学的治療におけるガイドラインとの比較

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 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、生命を脅かす精神障害である。BPD患者に対する薬理学的治療に関するガイドラインの推奨事項は、非常に広範囲に及ぶ。オーストリア・Psychosomatische Zentrum Waldviertel-Klinik EggenburgのFriedrich Riffer氏らは、日常臨床におけるBPD患者の薬物療法について調査を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年5月29日号の報告。

 オーストリアの精神科・心療内科クリニックで治療されたBPD(ICD-10:F-60.3)の患者110例(女性の割合:90%)の薬理学的治療に関するデータを評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・臨床医は、BPD患者に向精神薬を処方する頻度が高く、多くの場合で複数の薬剤を処方することが示唆された。
・最も一般的に用いられていた薬剤群は、抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬であった。
・最も一般的に用いられていた薬剤は、クエチアピン、ラモトリギン、セルトラリンであった。
・併存疾患の有無による薬物療法の種類や数量に、有意な差は認められなかった。
・薬物療法と合併症との関連は認められなかった。

 著者らは「日常臨床では、BPD患者に対し向精神薬が処方されることが多く、多剤併用になることが多いと示唆された。薬剤数と入院治療プログラムの有効性との間に認められる正の相関、薬剤数と併存疾患との間の関連性の欠如は、多剤併用の医原性効果を示唆していることと矛盾している。これらのことは、ガイドラインのコンセンサスを欠いているにもかかわらず、臨床医はBPD患者に向精神薬を処方しており、処方された薬剤の種類や数量が多いほど、より大きな治療効果が観察されている」としている。

(鷹野 敦夫)

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