APT試験のHER2陽性乳がん、術後パクリタキセル+トラスツズマブの長期転帰/JCO

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/17

 

 Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab(APT)試験は、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんに対する術後化学療法としてのパクリタキセル・トラスツズマブ併用療法について検討した第II相試験。これまでに主要解析の3年無病生存率(DFS)は98.7%であることが示されていたが、今回、長期追跡(7年)の結果が米国・ダナ・ファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らにより発表された。長期予後はきわめて良好であったこと、また、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんの内因性サブタイプは腫瘍径が大きなHER2陽性乳がんと類似していることや、パクリタキセル誘発性末梢神経障害(TIPN)に関連する一塩基多型(SNP)について明らかになったという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年4月2日号掲載の報告。

APT試験におけるHER2陽性乳がん7年DFSは93.3%

 研究グループは、APT試験の長期予後について解析するとともに、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんの生物学ならびにTIPNの発症と関連する遺伝要因を明らかにする目的で探索的解析を行った。APT試験の対象は腫瘍径3cm以下、リンパ節転移陰性のHER2陽性乳がん患者で、パクリタキセル(80mg/m2)+トラスツズマブを12週間、その後トラスツズマブを9ヵ月間投与された。

 主要評価項目はDFS、副次評価項目は無再発率(RFI)、乳がん特異的生存率および全生存率(OS)であった。探索的解析として、保存組織を用いnCounterシステムによるPredictor Analysis of Microarray 50(PAM50)遺伝子解析(Prosigna法)を行い、内因性サブタイプの分類と再発リスクスコア(ROR)を算出するとともに、TIPNに関連するSNP遺伝子型判定を行った。

 APT試験のHER2陽性乳がんについて解析した主な結果は以下のとおり。

・2007年10月~2010年9月に、計410例が登録された。
・追跡期間中央値6.5年において、DFSイベント発生は23件であった。
・7年DFSは93.3%(95%CI:90.4~96.2)で、4例(1.0%)は遠隔再発であった。
・7年OSは95.0%(95%CI:92.4~97.7)、7年RFIは97.5%(95%CI:95.9~99.1)であった。
・PAM50解析(278例)では、HER2 enrichedが65.5%と大半を占め、luminal Bが13.7%、luminal Aが12.6%、basal-likeが7.9%であった。
・遺伝子型判定(230例)の結果、Grade2以上のTIPN(10.4%)患者においてTIPNのリスク増加と関連するSNP、rs3012437が同定された。

(ケアネット)