毎週パクリタキセル療法の末梢神経障害、冷却療法による予防効果/日本乳癌学会

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/26

 

 乳がんに対する毎週パクリタキセル(PTX)療法に伴う末梢神経障害に対する予防方法として、冷却方法が有用である可能性が報告されている。今回、呉医療センター中国がんセンターの尾崎 慎治氏(4月より県立広島病院)らが無作為化比較第II相試験にて、frozen gloves/socksによる冷却療法を検証したところ、忍容性は良好であり、毎週パクリタキセル療法に伴う末梢神経障害の予防に有用と考えられた。第27回日本乳癌学会学術総会にて発表された。

毎週パクリタキセル療法に伴う末梢神経障害は冷却療法群で有意に低かった

 本試験では、毎週パクリタキセル療法を4サイクル施行予定の乳がん44症例を、毎週パクリタキセル療法開始時からfrozen gloves/socksによる予防的冷却療法を併用する試験群と、有意な末梢神経障害が発生した時点から冷却療法を併用開始するコントロール群の2群にランダム化した。併用群ではパクリタキセルの投与開始前15分から治療中を含め、治療終了後15分までの90分間、frozen gloves/socksを装着し、治療中に2個目のfrozen gloves/socksに切り替えた。末梢神経障害の評価はパクリタキセル各コースの投与前と4コース終了後に、患者アンケートとしてFACT-NTx subscale日本語版とPNQ(patient neurotoxicity questionnaire)を、また主治医評価としてCTCAE(commonterminology criteria for adverse event)v4.0を用いて評価した。FACT-NTxでは6ポイント以上または10%以上を、PNQではGradeD以上を、CTCAEではGrade2以上を有意な末梢神経障害として評価した。

 毎週パクリタキセル療法に伴う末梢神経障害に対する冷却療法の予防効果を検証した主な結果は以下のとおり。

・44症例を冷却療法群とコントロール群に22症例ずつ無作為化された。
・冷却療法の忍容性については、22症例中15症例(68%)が良好であり、冷却療法に関連した副作用(凍傷、末梢循環不全、悪寒)は認めなかった。
・FACT-NTxにおける有意な末梢神経障害の発生頻度は冷却療法群で有意に低かった(冷却療法群 vs.コントロール群: 41% vs.73%、p=0.03)。
・PNQにおけるGradeD以上の末梢性感覚神経障害の発生頻度は冷却療法群で有意に低かった(冷却療法群 vs.コントロール群:14% vs.42%、p=0.02)。
・CTCAEにおけるGrade2以上の末梢性感覚神経障害の発生頻度は冷却療法群で有意に低かった(冷却療法群 vs.コントロール群:9% vs.54%、p=0.001)。
・冷却療法の忍容性不良例や、コース数の増加とともに末梢神経障害が悪化する症例が存在した。

(ケアネット 金沢 浩子)