低分子ヘパリンによるVTE予防は小細胞肺がんのOSを改善するか/Ann Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/19

 

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、血液凝固活性化とともに悪性疾患の特徴であり、がん関連の死亡や疾患の主因となっている。スウェーデン・スコーネ大学病院のLars Ek氏らは、低分子量ヘパリン(LMWH)による凝固阻害が、VTEおよび腫瘍の進行を予防し小細胞肺がん(SCLC)患者の生存を改善するかについて、多施設共同無作為化非盲検臨床試験「RASTEN試験」を実施した。追跡期間中央値41ヵ月において、VTE発生率は有意に減少したが、全生存期間(OS)は改善しなかった。著者は、「SCLC患者の管理において、LMWHの追加は一般的には勧められていないが、がん患者におけるVTEおよびLMWH関連出血の予測バイオマーカーは必要である」とまとめている。Annals Oncology誌2018年2月号掲載の報告。

 研究グループは、新規に診断されたSCLC患者390例を、標準治療にLMWHとしてエノキサパリン1mg/kgを併用する群と併用しない群に無作為に割り付けた。

 主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、VTE発生率および出血性イベントとした(試験期間:2008年7月~2016年3月)。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は377例。エノキサパリン併用群186例、非併用群191例であった。
・OSは、エノキサパリン併用群10.6ヵ月、非併用群11.3ヵ月で、有意差は認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.89~1.38、p=0.36)。
・PFSも同様に、エノキサパリン併用による延長は認められなかった(HR:1.18、95%CI:0.95~1.46、p=0.14)
・VTE発生率は、エノキサパリン併用群で有意に低下した(HR:0.31、95%CI:0.11~0.84、p=0.02)。
・出血イベントは、エノキサパリン併用群で高頻度にみられたが、致死的出血は両群で発生した。

(ケアネット)