小細胞がんにおけるROVA-Tの有効性(TRINITY)/日本臨床腫瘍学会 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/08/16 進展型小細胞がん(ED-SCLC)は1次治療に良く反応するが、早期に再発し、予後不良である。3次治療以降で認可された治療法はなく、未治療の場合の全生存期間(OS)は1.5ヵ月とされる。また、現段階ではバイオマーカーによる治療は存在しない。 Delta-like Protein3(DLL3)は、正常細胞には発現しないが、小細胞肺がんに高発現するNotchリガンドであり、小細胞がん(SCLC)のマーカーとして期待されている。一方、rovalpituzumab tesirine(Rova-T)は抗DLL3抗体に細胞傷害性物質を結合させた抗体薬物複合体である。第I相試験で有効性を示したことから、オープンラベル単群第II相TRINITY試験が行われ、その結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。第16回日本臨床腫瘍学会では、米国・オハイオ州立大学のDavid Carbone氏が、その結果を発表している。 ・対象:DLL3を発現した(CNS転移を含む)3次治療以降(プラチナレジメン1回以上)の再発・難治SCLC ・試験薬:対象患者にRova-T 0.3mg/kgを6週ごと2サイクル投与 ・評価項目:[主要評価項目]客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS) [副次的評価項目]奏効期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、無増悪生存期間(PFS) 主な結果は以下のとおり。 ・DLL3発現患者は339例登録され、そのうち高DLL3(75%以上の細胞がDLL3発現)は238例(70%)であった。 ・治験担当医評価のORRは18.0%、高DLL3では19.7%であった。 ・外部独立評価委員会のORRは12.4%、高DLL3で14.3%であった。 ・OS中央値は5.6ヵ月、高DLL3では5.7ヵ月であった。 ・治療関連有害事象は全Gradeで91%、Grade3以上で40%。多くみられた項目は光過敏症(35%)、疲労感(28%)、胸水貯留(28%)、末梢浮腫(26%)。治療中止や減量を必要とした割合は10%以下であった。 ■参考 TRINITY試験(Clinical Trials.gov) ■関連記事 ASCO2016レポート 肺がん-2 (ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 主要5クラスの降圧薬、単剤・併用の降圧効果を定量化/Lancet(2025/09/15) 慢性冠動脈疾患の抗血小板薬はアスピリン、クロピドグレル?(解説:後藤信哉氏)(2025/09/15) 日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-I、症状はどの程度改善するか(2025/09/15) EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025(2025/09/15) 慢性疼痛への医療用大麻、患者の期待に応えられていない?(2025/09/15) 成人の心血管疾患患者は一般的な感染症のワクチンを接種すべき/ACC(2025/09/15) 健康的な食事と運動は飲酒による肝臓のダメージを抑制して死亡を減らす(2025/09/15) GLP-1RAが2型糖尿病患者のGERDリスク増大と関連(2025/09/15) [ あわせて読みたい ] 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.1(2018/07/25) Dr.長尾の胸部X線クイズ 中級編 (2018/07/07) 消化器がん特集(2018/06/21) 肺がん治療、患者と医療者の“スキマ”とは? 第15回【肺がんインタビュー】(2018/05/09) Dr.長尾の胸部X線クイズ 初級編 (2018/05/07) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.3(2018/04/07) 志水太郎の診断戦略エッセンス (2018/03/07) 私が出合ったマジヤバイ胸部画像読本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第2回(2018/02/13)