男女における握力とうつ病との関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/03/14 筋力は、高齢者のメンタルヘルスにおける、修正可能な保護的要因である。性差のエビデンスにおいて、メンタルヘルスとその関連は限られている。アイルランド・リムリック大学のCillian P. McDowell氏らは、握力とうつ症状やうつ状態との横断的および将来的な関連について、性差の評価を行った。Experimental gerontology誌オンライン版2018年2月14日号の報告。 対象は、50歳以上の一般成人4,505例(女性:56.5%)。筋力の尺度として、ベースライン時に、手持ち式の握力計を用いて利き手の握力(kg)を測定した。対象者は、握力別に三分位に振り分けられた。ベースライン時と2年後のうつ症状は、疫学研究用うつ病尺度(CES-D:Center for Epidemiological Studies Depression Scale)で評価し、16点以上をうつ病例とした。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ症状は、ベースライン時では女性において有意に高かった(p<0.001)。 ・将来モデルは、年齢、性別、腹囲、社会階級、喫煙、健康状態で調整した。 ・男性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で32.9%減少し(p=0.21)、上位で9.9%減少したが(p=0.74)、それぞれ有意な関連ではなかった。 ・女性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で28.5%減少し(p=0.13)、有意な差は認められなかったが、上位では43.4%の有意な減少が認められた(p=0.01)。 ・全サンプルにおけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で31.5%減少し(p=0.04)、上位で34.1%減少しており(p=0.02)、それぞれ有意な関連が認められた。 ・性別と握力の相互の影響は、統計学的に有意ではなかった(p=0.25)。 著者らは「高齢者において、握力とうつ病との逆相関が認められた。この関連は、男性よりも女性において強かった」としている。 ■関連記事 少し歩くだけでもうつ病は予防できる うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは 高齢者うつ病患者への運動療法は有効 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら McDowell CP, et al. Exp Gerontol. 2018 Feb 14. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ症状のリスク低下に筋力が寄与~メタ解析 医療一般(2020/09/04) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] IgA腎症、sibeprenlimabは蛋白尿を有意に減少/NEJM(2025/12/11) BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ(2025/12/11) 日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状(2025/12/11) 認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析 (2025/12/11) 日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か(2025/12/11) 膵管拡張は膵臓がんの警告サイン(2025/12/11) ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減(2025/12/11) [ あわせて読みたい ] 合格直結!テスレクDigest(2025/07/18) 「総合医育成プログラム」で広がる医師のキャリアと医療機関の未来【ReGeneral インタビュー】第1回(2025/11/24) 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26)