夢遊病に関するシステマティックレビュー

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/03/02

 

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。

 夢遊病(「sleepwalking」「somnambulism」)をキーワードとして、CINAHL、EMBASE、PsycINFO、PubMed、ScienceDirectより検索を行った。83件が抽出され、そのうち基準を満たした62件をレビュー対象とした。

 主な結果は以下のとおり。

・主に以下の4クラス(29薬剤)が、夢遊病のトリガーであると同定された。
 (1)ベンゾジアゼピン受容体アゴニストおよび他のGABAモジュレーター
 (2)抗うつ薬および他のセロトニン作動薬
 (3)抗精神病薬
 (4)β遮断薬
・薬剤誘発性夢遊病の最も強力なエビデンスは、ゾルピデムとsodium oxybateであった。
・その他すべての関連は、症例報告に基づいていた。

 著者らは「本研究は、臨床試験のリスクプロファイルにおける夢遊病の重要性を示唆しており、とくにGABAA受容体でのGABA活性およびセロトニン作動活性の増強、β遮断薬によるノルアドレナリン活性の遮断を伴う薬剤で注意が必要である。薬剤による夢遊病リスクの懸念がある場合には、患者に対し安全な睡眠環境についての教育を行い、夢遊病の発症または悪化を報告することが推奨され、発症した際の代替治療の検討を行うべきである」としている。

■関連記事
夢遊病にビペリデンは有望!?
がん患者の悪夢に有効な治療法は
ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

(鷹野 敦夫)