統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大

提供元:ケアネット

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公開日:2017/10/05

 

 統合失調症患者の機能的アウトカムに認知機能障害は強く関連しているが、その病態生理はよくわかっていない。健常人および精神神経疾患患者の認知機能に対するω3脂肪酸の関与が注目されている。和歌山県立医科大学の里神 和美氏らは、統合失調症患者におけるω3脂肪酸と認知機能、社会的機能、精神症状との関連を調査した。Schizophrenia research誌2017年5月18日号の報告。

 対象は、統合失調症または統合失調感情障害患者30例。精神症状、認知機能、社会機能は、それぞれPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、BACS(統合失調症認知機能簡易評価尺度)、SFS(社会的機能尺度)を用いて評価した。血清ω3脂肪酸は、ガスクロマトグラフィーを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・BACS総スコアは、EPAおよびDHAレベルと有意な相関が認められた。
・また、抗精神病薬の1日投与量は、DHAレベルおよびBACS総スコアと有意な負の相関が認められた。
・ステップワイズ重回帰分析では、SFSスコアがBACS総スコアと有意に関連していることが示唆された。

 著者らは「血清ω3脂肪酸の減少は、認知機能障害と関連しており、統合失調症における社会的機能アウトカムに影響を及ぼす」としている。

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(鷹野 敦夫)