PARP阻害薬olaparib、卵巣がんの適応を拡大/FDA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/31

 

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)およびMerck&Co., Inc.,(本社:米国ニュージャージー)は2017年8月17日、米国食品医薬品局(FDA)が PARP阻害剤olaparibに対し下記の通り承認を付与したことを発表した。

・BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤ベースの化学療法後に奏効を示している再発上皮性卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がん成人患者に対する維持療法。
・olaparib錠の新たな承認(従来はカプセル)。
・olaparib錠が3レジメン以上の化学療法治療歴を有する病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者の治療薬としても正式に承認された(現在の迅速承認からの変更)。

 今回の新規承認および当初単群試験に基づく迅速承認から正式承認への変更は、SOLO-2 試験、19試験の2つの無作為化試験に基づいている。

 SOLO-2試験はgBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がん患者を対象としたolaparib錠の単剤維持療法の有効性をプラセボと比較した無作為化二重盲検多施設共同第III相試験。患者は2レジメン以上のプラチナベース化学療法でCRおよびPRを示したBRCA1または2遺伝子変異を有する295例。結果、olaparibのベネフィットが確認され、olaparibは病勢進行あるいは死亡リスクを70%低減し(治験担当医師評価、HR:0.30、95%CI: 0.22~0.41、p<0.0001)、無増悪生存期間(PFS)をプラセボ群の5.5ヵ月に対し、19.1ヵ月に改善した。

 19試験は16ヵ国82施設における高悪性度再発卵巣がん患者を対象としてolaparibの有効性と安全性を比較した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。結果、olaparibはBRCA遺伝子変異状況を問わず、病勢進行あるいは死亡リスクを65%低減した。PFSをプラセボ群の4.8ヵ月に対しolaparib群8.4ヵ月と有意に改善した(HR:0.35、95%CI:0.25~0.49、p<0.0001)。さらに、全生存期間(OS)の中央値は、プラセボの27.8ヵ月に対し、29.8ヵ月を示した (HR:0.73、95% C:0.55~0.95)。

■参考
アストラゼネカ株式会社プレスリリース
AstraZeneca(米国)プレスリリース
FDAニュースリリース
SOLO-2試験

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(ケアネット 細田 雅之)