オラパリブ、BRCA変異陽性卵巣がんの病勢進行リスクを70%低減:アストラゼネカ

アストラゼネカ (本社:英国ロンドン、最高経営責任者[CEO]:パスカル・ソリオ)は2017年3月14日、生殖細胞系列BRCA (以下、gBRCA)変異陽性プラチナ感受性再発卵巣がん患者を対象に、オラパリブの維持療法をプラセボと比較した第III相臨床試験SOLO-2において、無増悪生存期間(PFS)の延長が示されたとの結果を発表した。
SOLO-2試験は、gBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者を対象とした、オラパリブの単剤維持療法としての有効性をプラセボと比較評価する多施設共同無作為化二重盲検第III相試験。患者はgBRCA1またはgBRCA2変異陽性の卵巣がんで、最低2レジメンのプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全または部分奏効を示している。295例の患者をオラパリブ(300mg×2/日)投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた。
試験結果は米国の婦人科腫瘍学会年次集会において発表された。治験医師評価によるPFSは、オラパリブ群19.1ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月で、オラパリブ群で有意な延長を示した(HR:0.30、95%CI:0.22~0.41、p<0.0001)。盲検下独立中央判定(BICR)評価によるPFSは、オラパリブ群30.2ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月で、オラパリブ群で 24.7ヵ月の延長がみられた(HR:0.25、95% CI:0.18~0.35、p<0.0001)。さらに副次的評価項目である2次進行または死亡までの生存期間(PFS2)においても、オラパリブ群未到達に対し、プラセボ群18.4ヵ月と、オラパリブ群で有意な改善がみられた(HR:0.50、95%CI:0.34~0.72、p=0.0002)。
本試験のオラパリブの安全性プロフィルは、従来の欧米での結果と一貫しており、Grade3以上の有害事象はオラパリブ群の36.9%、プラセボ群の18.2%に報告された。発生頻度20%以上のオラパリブの非血液学的有害事象は、悪心75.9%(Grade3以上2.6%)、疲労・無力症65.6%(Grade3以上4.1%)、嘔吐37.4%(Grade3以上2.6%)であった。主な血液学的有害事象は貧血43.6%(Grade3以上19.5%)、好中球減少症19.5%(Grade3以上 5.1%)、血小板減少症13.8%(Grade3以上1.0%)であった。
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(ケアネット 細田 雅之)
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