境界性パーソナリティ障害、性行為とアルコールの関係 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/04/12 性行為前にアルコールを摂取すると、無防備な性行為、複数の性行為相手、性感染症の可能性を高める。また、境界性パーソナリティ障害(BPD)は、物質使用障害や性的リスク行動と関連する。BPDは、情緒調節、自己イメージ、対人関係、衝動性制御における広範な不安定性を特徴とする複雑な精神障害である。しかし、米国におけるBPDと性行為前のアルコール摂取との関連についての研究は行われていない。米国・コロンビア大学のRonald G Thompson氏らは、全米の代表的な成人サンプルにおける、BPDと性行為前の定期的なアルコール摂取との関連を調査した。Drug and alcohol review誌オンライン版2017年3月20日号の報告。 対象は、アルコールおよび関連状態に関する全米疫学調査Wave2より、現在性的関係を持っている飲酒者1万7,491例。コントロールにより調整された、性行為前の定期的(大半または常に)なアルコール摂取の可能性をカウントし、BPD診断、特定のボーダーライン診断基準、BPD基準への影響を、ロジスティック回帰モデルで推定した。 主な結果は以下のとおり。 ・BPD診断は、性行為前の定期的なアルコール摂取の割合を2倍にした(調整OR:2.26、CI:1.63~3.14)。 ・9つの診断基準のうち、自傷行為における衝動性は、性行為前の定期的なアルコール摂取の有意な予測因子であった(調整OR:1.82、CI:1.42~2.35)。 ・性行為前の定期的なアルコール摂取のオッズ比は、各推奨基準に対して20%増加していた(調整OR:1.20、CI:1.14~1.27)。 著者らは「本検討は、米国におけるBPDと性行為前の定期的なアルコール摂取との関連を調査した最初の研究である。物質乱用治療では、とくにBPD患者において性行為前の定期的なアルコール摂取を評価すべきである。BPD治療では、衝動性、性行為、物質使用を横断的にリスク評価する必要がある」としている。 関連医療ニュース 神経性過食症と境界性パーソナリティ障害との関連 抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較 境界性パーソナリティ障害併発、自殺に対する影響は (鷹野敦夫) 原著論文はこちら Thompson RG Jr, et al. Drug Alcohol Rev. 2017 Mar 20. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は 医療一般(2014/08/08) 若者の摂食障害や境界性パーソナリティ障害の特徴やリスク因子 医療一般(2023/09/14) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] IgA腎症、sibeprenlimabは蛋白尿を有意に減少/NEJM(2025/12/11) BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ(2025/12/11) SGLT2阻害薬の腎保護作用:eGFR低下例・低アルブミン尿例でも新たな可能性/JAMA(解説:栗山哲氏)(2025/12/11) 日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状(2025/12/11) 認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析 (2025/12/11) 日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か(2025/12/11) 膵管拡張は膵臓がんの警告サイン(2025/12/11) ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減(2025/12/11) [ あわせて読みたい ] 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)