可能性あるなら遺伝子検査を…NSCLC患者の9割

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/16

 

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)、認定NPO 法人キャンサーネットジャパン(以下、CNJ)、がん情報サイト オンコロ(運営会社:株式会社クリニカル・トライアル、以下、オンコロ)は2016年12月14日、「進行・再発非小細胞肺がん患者への組織採取や遺伝子検査に関する意識調査」の結果を発表した。

 EGFR遺伝子変異発現非小細胞肺がんでは、EGFR-TKIが個別化医療を進展させたが、近年はこのEGFR-TKI に対する薬剤耐性が課題として認識されている。そのような中、耐性のおよそ60%に発生する二次変異EGFR T790M 変異にも著効するオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が2016年に上市された。同剤の処方にあたっては、腫瘍組織を採取(再生検)して、T790M 変異陽性を確認する必要となる。

 本調査は、非小細胞肺がん患者が、適切な治療を決定する際に必須となる遺伝子検査をどのようにとらえ、何が受診の障害となっているかを明らかにすることを目的に、肺がん分子標的薬のリーディングカンパニー アストラゼネカ、がん患者へ治験を含む情報を提供するオンコロ、がん医療情報の発信に取り組みアカデミアと患者の連携を支援するCNJの三社が共同で行ったもの。

調査結果のポイント
・確定診断時に気管支鏡検査または経皮的肺生検を受けた進行・再発非小細胞肺がん患者132例のうち、102例(77.3%)が気管支鏡検査または経皮的肺生検がつらかったと回答。
・進行・再発非小細胞肺がん患者167例のうち、遺伝子変異の種類によって効果の異なる薬剤がある場合、157例(94.0%)が遺伝子変異を調べる検査を受けたいと回答。
・遺伝子変異の検査方法としては、「受けたい」と回答した157例のうち123例(78.3%)が「血液検査」を選択すると回答。肺がん確定診断時の検査に、つらい思いをした患者は「血液検査」を選択し、つらい思いをしていない患者は「どちらでも問題ない」を選択する傾向があった。
・検査方法として「血液検査」/「どちらでも問題ない」と回答した148例の患者のうち、血液検査で遺伝子変異が特定できなかったが、気管支鏡検査(または経皮的肺生検)で遺伝子変異が特定できる可能性がある場合に、血液検査後に「気管支鏡検査(または経皮的肺生検)を受けたい」と回答したのは130例(87.8%)。
・確定診断の検査時にてつらい思いをした92例においても、82例(89.2%)が再度そのつらい思いをした検査を受けると回答。

 この調査の結果から、たとえ苦痛を伴う検査でも、その結果が最適な治療に結びつくならば、患者はその検査を選択することを示している。また、本調査監修者の北里大学医学部附属新世紀医療開発センター教授/北里大学病院集学的がん診療センター長 佐々木治一郎氏は、医師は独自の判断だけで患者さんの次の治療選択の機会を狭めてはいけない、と述べている。

オンコロ(株式会社クリニカル・トライアル)のニュースリリースはこちら

(ケアネット 細田 雅之)