抗PD-L1抗体atezolizumabが非小細胞肺がんの生存を有意に延長

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/07

 

 スイスRoche社は 2016年9月1日、第III相試験、OAK研究の結果atezolizumab(商品名:TECENTRIQ)が、プラチナベース化学療法で増悪した局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、ドセタキセルと比べ有意に全生存率の改善(OS)を示したと発表した。

 米国食品医薬品局(FDA)はatezolizumabに対し、プラチナベース化学療法(またはEGFR変異陽性またはALK陽性腫瘍に対する適切な標的療法)中または後に進行した、PD-L1陽性NSCLC患者の治療のブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定を与えた。

 OAK研究は、国際的な多施設オープンラベル無作為化第III相試験で、プラチナベース化学療法による治療後に増悪した局所進行性または転移性NSCLC患者を対象に、atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討している。1,225例の患者が、無作為にドセタキセル75mg/m2またはatezolizumab1,200mg(いずれも3週間ごと)投与群に1:1に割り付けられた。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間、副次的主要評価は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効期間(DOR)である。

 atezolizumabは、PD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)タンパク質に結合する初めてのモノクローナル抗体。 PD-L1に結合し、T細胞の表面上に発現するPD-1およびB7.1の相互作用を遮断することで、T細胞の活性化、効果的な腫瘍細胞の検出、攻撃能力の回復を可能にする。FDAで承認されているatezolizumabの適応はプラチナベース化学療法中または後に増悪した、あるいは術前術後のプラチナベース化学療法実施後12ヵ月以内に悪化した、局所進行性または転移性尿路上皮がん(MUC)患者に対する治療。

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(ケアネット 細田 雅之)