FDAが生体吸収性ステント承認

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/12

 

 米国食品医薬品局(FDA)は2016年7月5日、冠動脈疾患治療に対する初の完全生体吸収性ステントを承認した。Abbott Vascular社のAbsorb GT1生体吸収性スキャフォールドシステム(BVS)は、瘢痕組織の成長抑制のためにエベロリムスを溶出し、約3年間で徐々に体内に吸収される。

 Absorb GT1 BVSは、poly(L-lactide)と呼ばれる生体分解性ポリマーで構成される。これは縫合糸など生体吸収性の医療機器に使用される材料である。ステントが不要になると、デバイスは生体に吸収され、動脈内の異物としての存在は徐々に消えていく。吸収後は、心臓専門医の識別のために、留置場所の動脈壁に4つの非常に小さなプラチナマーカーだけが残る。

 FDAはAbsorb GT1 BVSの承認に当たり、薬剤溶出金属ステントとの主要心臓有害イベント発生率を比較した2,008例の無作為化試験のデータを評価した。1年後の主要心臓有害事象発生率は、Absorb GT1 BVS群で7.8%であり、対照群(6.1%)と臨床的な同等性を示した。また、1年後のデバイス内の血栓形成率は、Absorb GT1 BVS群で1.54%、対照群では0.74%であった。

 Absorb GT1 BVSの禁忌は、エベロリムスまたはpoly(L-lactide)、poly(D、L-lactide)、プラチナなどのデバイス材料に過敏症またはアレルギーを有する患者。また、血管形成術の対象ではない患者、造影剤過敏症患者、アスピリンと他の抗血小板薬の長期併用療法が実施できない患者にも禁忌である。

FDAのプレスリリースはこちら

(ケアネット 細田 雅之)