統合失調症治療、洞察力向上へのサポートが重要

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ケアネット

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 統合失調症患者は、将来の出来事の現象学的特徴を思い描いたり(エピソード洞察の構成要素)、予定した行動を実行する(展望記憶の構成要素)というような、特定の未来に向けた思考や行動への関与が困難である。しかし、エピソード洞察を用いて未来に向けた行動を適切に導くことに障害があるのかどうかについても不明なままであった。オーストラリア・クイーンズランド大学のAmanda D. Lyons氏らは、統合失調症とエピソード洞察について検討を行った。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

 研究グループは、統合失調症患者群と非臨床群(対照)の行動評価を行い、エピソード洞察を評価する厳密な基準を満たしているかを調べた。評価では、研究者らの洞察力の機能的応用への着目に合わせて、被験者に対して問題を同定し、自己解決して、将来に向けた意図を適切に実行することを要求した。

 主な結果は以下のとおり。

・対照と比較して統合失調症患者は、問題を後で解決させられることができるアイテムを自発的に得る傾向が低かった。また、これらのアイテムを用いて問題を解決する傾向もまた低かった。
・群間およびタスク間で相互作用はみられず、これら2つの洞察力の構成要素が同程度に混乱を来していることが示された。
・対照群ではみられなかったが、臨床群において、アイテム取得とアイテム使用は全般的な認知機能の能力と相関していた。
・臨床的変数との有意な関連は認められなかった。
・エピソード洞察を機能的な方法で適用する能力は、統合失調症では損なわれており、幅広い認知機能障害の少なくとも一部分を反映するものと思われた。今後の検討において、これらの問題をどのように修正するかだけでなく、日常生活におけるこれらの問題の関連についても明らかにする必要である。

 本検討における医療者にとってのポイントは以下が挙げられる。

・統合失調症患者はエピソード洞察が困難であり、その問題は、行動に先立って洞察する能力に及んでいるように思われる。
・未来の予定行動は、ルーチンおよび適応計画の中心を成すため、エピソード洞察における問題は、機能的困難に関連し、結果として統合失調症患者が経験するさまざまな機能的困難につながると思われる。
・今後の研究において、エピソード洞察が低下した人への介入が可能かどうかを明らかにする必要である。
・介入は、治療的ツールを含むことが考えられる。たとえば、洞察力を伴う行動の実行を支援したり促すようなサポート、あるいは認知訓練プログラムを用いて洞察力を働かせる能力や傾向の改善を働きかけるものなどである。

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